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2013/01/22

最先端絵巻・『ホビット』HFR・3D版感想


やっと見てきました、『ホビット』HFR・3Dバージョン!この時期ではすでに見た方が多いと思うので、ストーリーでなく「見た目」を中心に、思ったことをツラツラと書きます。というか、文字通り映像を体験するための映画でしたね。

HFR 3Dの価値
一度2Dで見ているのですが、噂に聞いていた通り、HFR・3Dはまるで別物でした。じつは前回は、一行が旅に出るまでが長すぎると感じましたし、いかにも「CG物量大作戦」(?)な戦闘シーンなどは正直退屈だったんです。この手の映像はもうありふれてきましたから、「物量」や「作り込み」自体ではなんとも感じなくなってしまったんですね…。(贅沢に慣れるのは早いものです!(^^;))

でも今回は違いました。旅に出るまでのシーンはビルボの見せ場でもあったし、「物量作戦」な戦闘シーンなどはほんとに見所でした。一秒間48フレームの威力。CGでの速いアクションも、残像に流れないできちんと細かいところまで見える。新鮮な「体験」でした。
もしかしてこのHFR(ハイ・フレーム・レート)という技術は、「CGで作り込める精密さ」と、「秒24コマで見える範囲」のギャップを埋めるために出てきたのかも…などと思ったり。だってこれが効果的だったのは、生身の俳優さんがロケで撮ったっぽいシーンでなく、フルCGに近いシーンでしたから。とにかく「劇場で映画を見てほしい」というピーター・ジャクソン監督の願いはよくわかりました。そのためにここまで、「劇場でないと見られないもの」を作ったわけですね。

指輪とオルフェ
ビルボがトーリンを助けようと横から突っ込んでくるカットが、一瞬『ロード・オブ・ザ・リング』アラゴルンがボロミアを助けようと突っ込んでくるカットを彷彿とさせました。うろ覚えなんですが、右側から突っ込んでくるのがすっかり同じですよね。そしたらなんか泣けてしまって…!(^^;)まさに「真の勇気が試されるのは命を奪う時でなく命を救うとき」がそのまま体現されているシーンでした。あのちっちゃいビルボが…。(くう!)

そしてゴラム…指輪シリーズでも見ていたキャラクターなのに、今回のゴラムは以前より印象的でした。二重人格というか、「いとしいしと」と人格が二つ入ってて会話している壊れ具合が強烈で。あれが指輪に毒されたなれの果てなんですね。恐ろしい顔から無防備な子供みたいな顔にころころと変わる表情が…アンディ・サーキスすごい。指輪をなくしたときの狂ったような慌てぶりと、見つからなくて絶望したときの「かわいそうな」顔…その顔を見たビルボが剣を納めるシーンは泣けました。マーティン・フリーマンもうまい。なんというか自然で。ここも、たぶんこの映画のテーマの一つになるシーンですよね。

ビルボが指輪を偶然はめてしまい、周りから姿が見えなくなるシーンの表現は『ロード・オブ・ザ・リング』のとおり。そのときだけ色合いが変わって、風が吹いたような、湯気がたってるような効果が加わってます。少しスローモーションにもなっていたかな。原作を読んでいないので、これが原作にある描写のイメージなのかどうかわかりません。おまけに指輪三部作も一作目しか印象に残っていないので(ごめんなさい(^ ^;))、解釈がまったく違うかもしれませんが…なんとなく「冥界に片足突っ込んでる感じ」を受けました。一瞬イメージが重なったのは、ジャン・コクトー『オルフェ』。これはオルフェウスの神話(死んだ妻を冥界に取り返しにいく話)を現代に翻案した映画です。(映画が作られた当時の「現代」なので、風俗は1940~50年代あたり)

そのなかで、死神の運転手である青年に導かれて、主人公のオルフェが冥界に向かうシーンがあります。映画の中ではその道のりを「ゾーン」と言っています。
「ゾーン」では進行方向から向かい風を受け、生きた人間であるオルフェは進むのに強い抵抗を受けていて、動きがスローになっています。しかし、すでに冥界の住人である青年(自殺をした人)は、歩きもしないですーっと進むことができるんです。モノクロ映画ですがすごく独創的で、当時の「最先端」技術を使っているシーンがいろいろ出てきます。(湯気の表現はないですが、当時できる技術があったらやってたのかも…?)

Youtubeで探したら、「ゾーン」のシーンがありました!最初の鏡から「ゾーン」に入るシーンからしてじつは簡単なトリックで撮られているんですが、なかなかこういう使い方はしないですよね。さすが詩人。このクリップには、最後のほうに別の、映画のラスト近くに出てきた「ゾーン」のシーンも付けられています(二人とも進みにくそうなシーン)。こちらも簡単なトリックを大胆に使ってて面白いです。同じ効果をCGできれいに作っても、この面白さは出ないですね。


…これと印象が似ていたので、指輪をはめたビルボやフロドは「冥界に入りかけてる」感じがしました。長くはめていると完全にそっちにいっちゃうんじゃないか、みたいな危ない感じ。(イメージの方向はあってますよね?)

すいません、ちょっと不思議ちゃんな話をします。(笑)
昔、寝ぼけていたのかなんなのかわからないんですが…起き抜けでものすごく眠かったとき、自分の手から湯気のようなものが出ているのを見たことがあるんです。そのときは、なんとなくオーラかなにかが見えるってこんな感じかな…くらいにぼんやり思ったんですが(なにしろ眠かったもので(笑))、それがちょうどあの指輪のシーンみたいな感じだったんです。夢かもしれないですが、なにかそういうイメージは共通してあるのかも…と思いました。もしかしたら、同じものを見た人がいっぱいいるんじゃないかと。(…あ゛、霊感があるとかじゃまったくないです!この「湯気」も見たのは一回だけ(^^;))

余談・ホビット協賛ビルボランチ希望(笑)
余談ですが、ビルボの家の食べ物の描写がすごく印象的だったので、ちなんだ料理の提供とか、映画館の近くのレストランとかでやってくれればいいのに…(やったところもあるのかな?)

強烈に食べたかったのは、やっぱり映画ではっきり見えたビルボプレート。(笑)ビルボが一人で食べようとして、訪ねてきたドワーフに食われちゃったやつです。…全部は覚えてないのですが、たしかメインのお皿にあったのは魚のソテー。オイルで焼いてましたよね。付け合わせにジャガイモ人参がありました。たぶんゆでただけ。もう一つ何か見えた気がするんですが思い出せない。味付けはテーブルに出してから塩をひとつまみかけて、レモンかなにかしぼってる。…普通にうまそうじゃないですかこれ。(笑)まねするとしたら、ホビット庄は海がなさそうだから川魚かなーという気はするんですが…どうかな。
「お客」が来てその料理を横取りされたあと、スコーンかなんかを山盛りにしたのが出てきましたよね。(一つだけ自分でとって隠してから渡すビルボ!さすがマーティン!(笑))あれも彼が作り置きしたんですよね♪

最初に見たときは、ビルボは一人暮らしなのになんであんなに食べ物溜め込んでるのかな、と思ったんですが…「お客好き」なんですね。だからあんなに…それにしてもすごい量でした。なんだかリスが頬袋にいっぱい食べ物詰め込んでるみたいなイメージでかわいいよビルボ…(笑)

とにかくビルボプレート。これホビット見たあとに、映画館の近くのレストランで食べたいです。もちろんビルボのコスプレしたウエイターさんが運んでくれるんです。食べ終わったら「契約書」もくれる。(こええっ!(笑))