イベント参加予定

【イベント参加予定】2024/5/19 文学フリマ東京38 / 2024/5/26 COMITIA 148

2013/05/12

アップル・タルト/ビルボ食堂検証編(笑)

ビルボさんちで出てきた「アップル・タルト」『ビートン夫人の家政読本』の古風なレシピを参考にして作ってみました。(スパコミ新刊『ビルボ食堂』をお持ちの方は、そちらと合わせてご覧いただけると嬉しいです♪)

レシピはパイ皮でフタをするやり方なのですが、「タルト」というと個人的にフタのないイメージなのと、一部うちにあるもので代用してるので、適当にアレンジしています。また、ビートン夫人版ではあいまいだったところなども補完しています。テキトーアレンジによる反省点は最後に。(^^;)でも結果的にはおいしく食べられたので、イマイチだった点や、イマドキと違うなーと思った点、思いつきでやったことなども含めて、やったままを書きます。レシピというより実験記録としてお読み下さい。(笑)

(参考にしたレシピの原著は、ヴィクトリア朝の料理・家政の資料として定番の本で、英語の著作権は切れていますので、ネットで無料で閲覧できます。Gutenbergのページはこちら。テキストだけですがkindle版をいただきました。検索はウェブ版のほうが速いです。
Project Gutenberg: The Book of Household Management by Mrs. Beeton

参照した分量は、生地は「フルーツタルト用のすこぶるおいしいショートクラスト」(VERY GOOD SHORT CRUST for FRUITS TARTS)の記載の半量、フィリングは「アップル・タルト(またはパイ)」(APPLE TARTS OR PIE)に書かれている量の二倍です。(それぞれ「小麦粉1ポンドに対して」、「リンゴ1ポンドに対して」という比率で書かれているので、使う量に合わせて計算しました)手に入らないものなどは適宜代用しています。

今回の材料
(ポンド、オンスからグラム・CCに大雑把に換算)

生地
(型はうちにあった直経22センチの底がはずせるタルト型を使いました。
この量で今回のようにフタなしだと生地は余ります)
小麦粉 230g
バター 170g
ふるった砂糖 小さじ1/2
水 95cc

フィリング
リンゴ(紅玉) 三個
砂糖 100g (マイナス大さじ2程度(^^;))
レモンの皮のみじん切り 小さじ1
レモン汁 大さじ2
水 大さじ2

生地のショート・クラストはパイというよりクラッカーみたいな生地。このレシピではバターと砂糖と小麦粉と冷水だけです。(最近のレシピ本を見ると卵も入れます。でもバターの比率はビートン夫人のほうがイマドキより多くて高カロリー!)

バターを粉のうえで切り刻んでもいいんですが、それを思いっきりやれる広い場所がないので(笑)、今回は前夜に6mm角見当で包丁で刻み、冷蔵庫で冷やしておきました。(広げる場所さえあれば、粉のうえで包丁でもできますね)粉の中で手でこすり合わせるように細かくしていき、しっとりしたパン粉状に。 バターがあまり溶けてくるとべたつきますのでご注意。今回は、粉のなかでさらにスケッパーでしつこく刻んでから手ですりまぜました。

水を入れて全体をまとめ、2、3回折りたたんで麺棒で伸ばします。(イマドキのレシピでは、折りたたまずにただ丸めるようです)このあと、イマドキのやり方に従って冷蔵庫で一時間以上休ませました。バターが多くて冷やさないとうまく扱えません。ビートン夫人の時代には冷蔵庫はないので、これはレシピにはないですが…。イギリス寒そうですしね。


冷やしている間にリンゴの皮をむいて薄切りに。芯抜きを持ってないので、普通に四つ割りにして芯のところを切り取り、5ミリ程度の薄切りにしました。
味付けは砂糖とレモン汁とレモンの皮だけ。皮を使うので無農薬のレモンを買いました。「よくつぶして」ということなのですが、つぶす方法が思いつかなかったのでみじん切りに。(…これがのちのち面倒なことに(笑))


砂糖は、レシピではmoist sugarというのを使っています。辞書でひくと直訳で「湿糖」ですが、そういう日本の砂糖は売っていませんよね。糖蜜が残っている未精製の砂糖だそうで、三温糖なんかが近いようです。今回はうちにあった普通の白砂糖を使いました。

最初は薄切りリンゴに砂糖やレモン汁をまぶそうと思ったんですが、切ったリンゴをばらばらにすると並べるときに面倒だと思ったので、切った状態を崩さずに並べてから、砂糖とレモン汁と水を混ぜてシロップ状にしてかけてみることに。かなりな量の砂糖なので、少しとっておき、仕上げにかけようと思いましたが、結局充分甘かったのでふりかけることはしませんでした。


生地を伸ばす板がなく、まな板では幅が狭いので、台所の台のうえにラップを敷いてそこでやりました。(笑)

生地を3mm程度の厚さに伸ばし、麺棒に巻きつけて、バターを塗った焼き型のうえで巻き戻す感じで広げ、生地を型に押し付けます。余分の生地は型のふちで押し切って取り、なかにリンゴを並べてさっきのシロップをかけました。リンゴは板状のパーツは周りにずらりと並べ、端のカーブのあるパーツは残して真ん中につめました。このとき、あんまりギュウギュウ押すと生地に穴が開きますのでご注意。実体験。穴あきました。その結果はのちほど(笑))
(生地はちょうどフタの分くらい余りました。幸か不幸か砂糖を入れ忘れたので(^^;)、お菓子でなく料理用にも使えます。普通のクラッカー的にただ焼いて食べてもいいかな…)

別のレシピを参照して、まずはオーブンを200度に設定。様子を見ながら途中180度程度に落としたりしました。オーブンのクセで焼き目が偏るので、途中開けてまわしたりしましたので、それを割り引くとやはり焼き時間は30~45分程度でしょうか。ビルボはかまどなので、やはり様子を見ながら焼いたんだろうな…とか妄想しつつ。(笑)焼き上がりはこんな感じ。
狐色の焼き色をつけられなかったのが残念。みじん切りのレモンの皮が焦げやすかったのと、先に砂糖で味付けしたのも焦げやすかったかと。途中ホイルを乗せたりして様子を見たのですが、火は完全に通ったのでこのへんで見切りをつけました。もともとパイ皮でフタをして焼くレシピのフィリングなので、先に味をつけるのかも。フタなしの場合は、焼いたあとにグレーズ(シロップやジャムで照りをつける)をしたほうがいいのかもしれません。

そしてさっき生地にあけた穴が発覚。そこからシロップが出て生地の外側に回り、カラメル状になってしまったんです。このカラメルは、型が底が抜けるタイプなのでそこにもしみ出て、型との間で接着剤になってしまい、はずすときナイフで切り取るはめになりました。(^^;)

でもまあ、食べる分には問題ないです。温かいうちに、定番でアイスクリームを添えて食べました。かなり甘いし、レモン汁の酸味もかなり効いています。でもお茶を飲みながら食べるには合いました。おいしかったです♪


ビルボの家では、ビフール「ラズベリー・ジャムとアップル・タルト」とセットで注文(?)していたので、ジャムを乗せて食べたのかと推測。(…それにアイスクリームはビルボの家にはありませんよね(笑))冷めてから市販のジャムを添えて試してみました。うむ!これもありだ❤ラズベリーの酸味がサッパリしておいしいです!砂糖抜きのミルクティーによく合いました。


今回グレーズをしていないので照りがありませんが、仕上げはグレーズのほか、粉砂糖もよくふりかけるようです。


反省点まとめ

・生地にちゃんと砂糖をいれること。
・レモン皮はリンゴをいれる前に敷いてしまうか、省いてもいいかも。
・リンゴは生地の上でギュウギュウ押さない。(^^;)
・そもそもリンゴを味付けしないで焼いて、あとからグレーズしたほうがきれいにできそう。
・「フタつき」パイのフィリングを「フタなし」タルトに流用したことからいろいろ不都合が出た。(^^;)


発見まとめ

・これくらいテキトーでもいちおうできあがる。
・アイスクリームはパイの救世主。作るときに用意しておくと、かなりおいしく食べられる。


じつは、別のイギリス料理の本に、昔はアップルパイにアイスクリームでなくチーズを添えていた、と書かれていました。リンゴを煮るときにチーズを入れるレシピもあったとか。乳製品合うんですね。今度チーズも試してみたいです♪

元にしたビートン夫人のレシピは、フタつきの「アップルパイ」としても、今よく食べるものとは違うなあ…と思います。リンゴを煮ないでいれるし、シナモンもいれないんですよね。イギリス料理にはシンプルで質実剛健(?)なイメージを持っているんですが、すごくそのイメージに合うなあ…♪と思いました。
『…家政読本』のオリジナルはイラスト付らしいので、原著も見てみたいです。ネットで部分的に画像が流れてるんですが、アンティークな感じのイラストがまたそそります…。


おまけアップル・タルトというとほんとにいろんなレシピがあるようで、その中から変わったのを二つご紹介します。

キューピー3分クッキング・りんごのタルト
タルト型なしでの作り方を紹介しています。クルミのクリーム入りというのも独特。

Smitten Kitchen: Sipmlest Apple Tart
英語サイトですが写真がたくさんあり、余分の生地を切り取らずにたたみ上げていて、素朴な感じが素敵です♪