2013/09/14

『アイアン・スカイ』など7本/最近見たDVDの覚え書


『アイアン・スカイ』(2012) 『アイアンスカイ』公式サイト
「ナチスが月から攻めてきた!」というあまりにキャッチーなコピーと、制作費の一部がファンの寄付という話題で気になっていたSFコメディ、やっと拝見。ナチスが1945年に月の裏側への移住を実現していた、というぶっとんだ設定。(「どうやって」とかいう説明はなし(笑))いかにも低予算らしいので覚悟しましたが、かなり楽しめました!

自分にわかる俳優さんはウド・キアーだけでしたが、アメリカ大統領とその選挙キャンペーン担当が秀逸。(両方女性。とくにキャンペーン担当の姐さん、後半かっこよすぎ!(笑))自称「月から来たナチス」を信じないまま「こいつら使える」選挙対策委員長にしたり、突然空から攻めてきた敵に「一期目に戦争を始めた大統領は必ず再選できるわ♪」と大喜びしたり。その他ぶっちゃけすぎてる国連ギャグシーンなど、細かいとこも面白かったです。満足☆



『007/リビング・デイライツ』(1987)
これと次の『恋人までの距離』は、じつはウィーンの街並が見られる映画ということで調べて借りました。(次の次の次あたりに書きたいもののロケハン(?)。変えるかもしれませんが(^^;))
しかし意外な拾いもの!ティモシー・ダルトンのボンドは、リアルタイムの宣伝や記事は覚えているんですが、当時ボンド映画に興味がなかったため、きちんと見るのは初めて。人気がイマイチで二作で降板、の予備知識だったので期待もなく見ましたが、「すごく好みの」ボンドでびっくりしました!ロジャー・ムーアの対極(笑)というか、シリアスでハードなアクションが似合うボンド。もともと「ボンドはこうあるべき」という思い入れはないので、「映画として面白い」「ダルトンの顔が好み」という理由で歴代で一番好きなボンドになりました。

ボンドガールはこれも画期的に露出度の少ない(笑)マリアム・ダボー。それを補うように、悪役の側で使われる殺し屋の兄ちゃん北欧風のすごい美形で、すばらしいプロポーション無駄にビキニでさらしてたりして大満足でした♪監督組合の人!?なの!?と思ったくらい。(音声解説で、このイケメンはダンサー出身のスタントマンと言われてました。「悪役に使われる殺し屋」のポジションて、ボンド映画に限らず腐女子受けのするイケメンがわりと多い気が…(笑))アクションも飛んでる飛行機の上とか、本当に、本当に「手に汗握る」ってやつでした。これ、劇場リバイバルしてくれたら見に行きたい気がします!

ダルトンボンドが「冷酷に見える」という悪評はわかる気がしますが、この映画でのボンドガールに対しての態度は、むしろ「王子様」のようでした☆(映画として路線が違いますね。ほんとに)



『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(1995)
イーサン・ホークジュリー・デルピー共演のラブストーリー。旅行中の列車の中で知り合った二人の、別れるまでの一日を追うシンプルな話。なんですが、二人が「ひたすらしゃべっている」、というのが新鮮。ほぼ一晩中ウィーンの街を歩き回り、しゃべり続けます。それで退屈しないのは、会話の内容主演の二人がかもし出すリアルな雰囲気でしょうね。あまり期待していなかったのですが、意外に楽しめました。(余談ですが、これ、公開時は「ビフォア・サンライズ」はついてなかった気がするんですが…記憶違いかな)



『007/消されたライセンス』(1989)
予想外によかったダルトンボンドのもう一本を見ておきたくなって。こちらはさらにシリアス・ハード路線で、ボンドガールは出てくるものの、サービスシーンより「痛い」「残酷」なシーンが印象的。麻薬王に親友(CIAのフェリックス・ライター)の花嫁を殺され、フェリックス自身も重傷を負わされて、その復讐に燃えるボンド。殺人許可証を取り上げられての個人的復讐、というのもかなり画期的。…ということは、つまりスパイ映画でなく普通にハードボイルドなアクション映画になるということでもありますが…。Qが意外な活躍を見せるところも楽しめました。アクションと容赦ない「痛い」シーンに関しては、現在の路線に比較的近いかもしれません。(なんかジャケットのダルトン別人みたい…)



『眼下の敵』(1957)
テレビで『史上最大の作戦』をチラ見したらクルト・ユルゲンスが素敵だったので、彼の有名な出演作できちんと見たことなかったこれを。ドイツの潜水艦とアメリカの駆逐艦の戦いを描き、有能な艦長同士相手の策を予測する駆け引きが見もの。米軍艦長がロバート・ミッチャム、ドイツの艦長がクルト・ユルゲンス。艦長は二人とも戦争で家族を亡くしていて、戦争自体には冷めている点、とくにユルゲンス演じる艦長がヒトラーを批判的に見ているところなど、感情移入しやすい仕立て。部下とのつながり有能な敵への敬意など、古きよきハリウッド映画のヒューマニズムで後味よく終わります。現実にはこうはいきますまいが、気分のいい映画です。

公開当時としては、実際の米海軍の協力を得た映像が呼び物の一つだったようです。特撮は当時のものなので模型撮影部分は露骨にわかりますが、海上から撮った爆雷の爆発シーンなどは実際に「やってる」ものに見えました。しかしあのソナーの音を聴くと『U-ボート』が見たくなりますね…。
(今ググって初めて知りましたが、原作者は元英国海軍で、原作だと英軍駆逐艦と独軍潜水艦の話になってるようです。ハリウッドが映画化権を買って脚色したんですね、きっと)




『鷲は舞いおりた』(1976)
ついでに戦争映画が見たくなって、有名なこれをチョイス。ドイツ軍によるチャーチル誘拐作戦の顛末。ジャケットのマイケル・ケインの顔と「チャーチル誘拐作戦」という言葉に引かれたのですが、見てみたらケイン含め、イギリス人が主の豪華キャストが丸ごとドイツ軍の役でびっくり。(てっきり英軍とドイツ軍が諜報戦含めて丁々発止する話かと想像してました~(^^;))話の主な舞台もイギリスで台詞もオール英語なのですが、あくまでドイツ軍の物語でした。

有能な大佐で、例によってナチス上層部に対しては反抗的、部下の信頼は厚いという愛されキャラ(?)がマイケル・ケイン。チャーチル誘拐なんか実行不可能だけど命令だから計画研究だけしとけ、と言うヒムラーにドナルド・プレザンス、その命令を実行に移してしまう情報部長官(彼がケインの大佐に作戦実行を命じる)にロバート・デュバル。ドイツ協力者のアイルランド独立主義者にドナルド・サザーランド。イギリスの村の娘にジェニー・アガタージュディ・ギーソン、村で密かに独軍に協力してる女スパイにジーン・マーシュ。隅々まで「人情」が前面に出てるのが、今の目で見ると新鮮。原作はジャック・ヒギンズのヒット小説で、レビューを読むと原作ではマーシュの役はおばあさんだったようです。映画としては画面の華やかさの配慮と理解できますが、原作の設定のほうがショックでしょうね。村で信頼されているおばあちゃんがじつはスパイ、なんて。細かいところは小説で読んだほうが面白そう。



『トラウマ』(2004)
コリン・ファース主演のサイコスリラー。『アメリカン・ビューティー』のミーナ・スヴァーリ共演。自分が運転していた車で事故を起こし、同乗していた妻を死なせてしまった男が、ほぼ同時に発生した有名歌手殺人事件の容疑をかけられ、混乱する記憶に翻弄されつつ精神的に追いつめられていくお話。なんですが、オチにとことん救いがなく、かなり後味はわるいです。コリン・ファースの不精ヒゲ憔悴演技鑑賞と割り切れば別ですが(それは私(^^;))、特に蜘蛛や蟻のぞわぞわした映像が嫌いな方にはおすすめいたしマセン。コリン・ファースは熱演ですが…物語として痛すぎました。でも逆に言うと、主人公の抱える問題は、誰の中にもあるものを極端に強調したものに感じられるんですよね。そこに一筋のリアリティーがあり…でも好き嫌いでいえば正直好きじゃない。ごめんなさい。(^^;)タイトルは内容とすれ違ってる気がします。