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2015/12/03

歴史家萌え中❤(エドワード・ハレット・カー)

ここんとこ告知続きだったので、今日は肩の力を抜いてはまりものの話など。(書いたものやこれから書くものには自然につながっちゃうんですけども)

…『History: 低体温男子イアン・ワージングのハロウィーン』でエピグラフに著書から引用させていただいたE. H. カー、マイブームが続いております。外交萌え(?)、みたいなのってありますよね。たぶん自分がそれを最初に経験したのはスタトレのTNGだったと思うんですが(笑)、ちょっとそっち系の楽しみもありつつ、ご本人に興味が出てます。

で、ここでも以前ちらっと触れました、唯一の評伝『誠実という悪徳―E.H.カー 1892‐1982』を図書館で借り、読み始めました。うっかり上に落としたらハムスターくらい死んじゃいそうな厚い本で、そのうえ自分なんかですとちまちま辞典引かないと上っ面しか読み取れない書き方。なので二週間で読みきるのはまったく無理(^^;)。やはり手元にほしくなってきました。

amazonのレビューではこの方面興味ある人には必読とか言われながら、でもこれを今出して誰が読むんだろう?と言われている(笑)、そんな本です。読みにくいところもある。(たぶん歴史事項の「読者が知っててあたりまえ」の前提基準がお高め)でもわからないところを調べながらゆっくり読むと『トリビアの泉』的な面白みもあるし、上っ面で読むのはもったいない本です。

こんな本の邦訳版を出してくれた出版社さんを支援する意味で、買うときは古書でなく新書を定価で買いたいです!(てか、ぶっちゃけ古書でもあまり変わらないのですよ。たぶん絶版になったら古書が私の手には届かない値段になるタイプの本じゃないでしょうか)

冒頭には、カー本人が著作で書いた言葉が皮肉に引用されています。いわく、

「偉大なる人間の中に卑小さと欠陥を発見するのは、大衆には、わくわくするような出来事である」

そして序文で著者(カーの教えを受けたことがあるジョナサン・ハスラム)はこう書いています。

「…しかしながら、他の多くの者にとっては、彼は、謎の人物、理解し難く近寄りがたい異才であった。人間というよりはむしろ、半神(あるいは魔人)であった。(中略)彼は、賞賛と同時に、同じくらいの量の罵倒をも受けたのである」

カーは100%象牙の塔の中の人ではなくて、イギリス外務省で二十年も働いていました。このへんは別の情報源であらかじめ垣間見ていたのですが、具体的に見るとなかなか面白くて。

生まれたのは1892年で、子供の頃からかなり優秀…天才といっていい方だったようで、奨学金とトリニティ・カレッジの学寮長からのラブコール(笑)を得てケンブリッジ大学に入学しています。(家は中流でも余裕はあまりなかった様子なので、奨学金は必要条件だったのかも)最初は古典のほうでめきめき才能を発揮していたそうで、文芸面の素質があったんですね。これまで読了したこの方の本は、『歴史とは何か』『新しい社会』と共に講演記録ですし翻訳ですが、センスというかなんというか、そのへんの素養ががっちり支えているのは素人目にも納得です。

下に弟、妹がいますが、未婚の叔母が同居していたそうで、この叔母が幼少時の彼を「自分のものにした」そうです。具体的にどうこう、というのがあまり書かれていないのがこの評伝の特徴なんですが(笑)(あるいはあとに詳述されるのかもですが)、老年になってからカーご本人は、

「幼少時代、私は、方向を誤った感情に過剰なまでに取り巻かれ、翻弄され、傷つきました。そして、他者とのバランスの取れた感情関係を結ぶのに失敗してきました」

と書いているそうです。何があったんでしょう。

この叔母アメリアの影響はかなり深刻だったようで、彼が大学時代に病気で二年休学した際に「問題の根源は叔母のアメリア」と「高名な医師」に見通され、彼女に出て行ってもらうようカー自身が話すはめになったそうです。

このへん詳しく書いてると何ページあってもたりないので切り上げますが、第一次世界大戦も幸か不幸か病気のために出征しなくて済み、1916年に外務省の職員に。(本来は特権階級しか入省できなかったそうで、これも戦時ゆえ)そして終戦後のパリ講和会議ではアシスタントとしてイギリス代表団の一員になり、仕事ぶりはかなり高い評価を受けていたようです。

…カーの著書で『危機の二十年』というのがあります。一次大戦と二次大戦の間の期間をテーマにした本なんですが、前に借りて、やはり二週間では(あるいは延長して一ヶ月でも)自分のペースで読了するのは無理でした。逆に一回読了してオッケーという本でもないので、手に入れて精読しようと思っているんですが…現場にいた人の書いた本だと思うと、自分の食いつきも変わりそうです(笑)。前に借りたのは旧訳だったので、わかりやすくなってるという新訳で読むのが楽しみであります♪

読んでいて、「バルカン化」って言葉がわからなくて、調べて初めて知りました。(Balkanization: バルカン半島のように対立する小国に分かれること)バルカンて聞くと「…半島」より「…星人」が先に来るほうなので、イメージ矯正中です。(笑)

自分は近代史まったく詳しくないのですが、小説で書いているイアン君(まだ書く気です。書きやすいんですこの人(^^))はこのへんめっぽう詳しい人なので、少しでも彼に追いつけるようにがんばらなくてはです☆(てかとにかく今マイブームなので飽きないうちに!(笑))