2016/12/28

コミケと年末年始無料配信のお知らせ

まずはコミケ


またまた直前ですが(^^;)、12/30(二日目)コミックマ―ケットに出展します。スペースは

西み29b、SUSSANRAP(サッサンラップ)

です。西は企業ブースもあるし、今回は29日か30日に叶姉妹もいらっしゃるそうなので↓(笑)、ぜひいらして下さーい♪



スプレかと思ったら「万札はだめ、千円札で」などのアドバイスに従って用意してるんですって。買い物…?ていうか何冊買うつもりなんだー。(^^;)聞いたところではジョジョのファンだそうで(未読ですスイマセン)、周りの迷惑にならないようにと準備もきちんとなさってるようです。半分話題作りだとしても心温まる話題です(笑)。どうせなら楽しんでいってほしいですねー。グッドルッキングなガイズに紙袋いっぱいの薄い本運ばせてる図を見てみたいですー☆


そちらの話題に吹き飛ばされそうですが(笑)、うちのサークルカットはこんなでえす♪

今回は念願の創作JUNE/BL(たぶん叶姉妹はこないエリア(笑))で、マイルドBLイアンシリーズがメインです。お試し短編二種無料配布をいたします。残念ながら新刊が間に合わないので、初物はペーパーだけ(現在鋭意製作中!)。これをいれて三種が無料なので、初めての方向けに無料ものだけのセットも組みます。ささっと持って行っていただけたら嬉しいです!他に二次の既刊の残り(SHERLOCK、The Game、ピーター・カッシング、ホビット)も少しずつ持ち込みます。ペーパーはゆるくイアンのモデルにさせていただいたジョナサン・アリスさん萌え語りも入れちゃう予定なので、ファンの方もよかったらもらってやって下さい♪



おしながきを兼ねたポスター。創作エリアで「イメージソースはアリスさん」とか謳っても
意味がないので(^^;)、オリジナルとしてのPRに絞りました。
(作品はもちろんオリジナルとして読んでいただくことを前提に書いております!)

うう、しかしこんな説明で足をとめて下さる方はいらっしゃるかしらん…。


当日持ち込み品は、母艦サイトの他pixivやウェブカタログでもお知らせしています。

おついでがありましたらぜひ。既刊のご感想など一言いただけますとヒジョーにヨロコビます。
おしゃベリだけでもお気軽にお立ち寄りくださいませ。お待ちしております♪






年末年始無料配信

こちらはkindle本で、コミケでお試し無料配布をするのに合わせて無料配信をいたします。最近kindle無料アプリをインストールなさった方、クリスマスにkindleをゲットした方もぜひ、お試しくださいませ。

一冊目はイアンシリーズの長いお話の分冊版上巻。29日夕方五時頃からです。

2016/12/29~2017/1/3(PM5:00頃開始・終了予定)

もう一冊、『追憶のシャーロック・ホームズ』も分冊版の上巻を無料配信予定。同時にしたかったんですが、こちらのKDPセレクト登録が29日に切れるため、更新日をまたがった設定ができないとのことで、たぶん30日の午後五時頃からになります。よかったら合わせてご利用ください。

2016/12/30~2017/1/3(PM5:00頃開始・終了予定)




下は上記の統合版で、これを三分割にしたものが分冊版です。レビューを下さった皆様、改めてありがとうございます。m(_ _)m


2016/12/18

「つなぐ」。/『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

2016/12/16 の初日に鑑賞いたしました。『ローグ・ワン』。スターウォーズは前回のは見てないくらいで、ピーター・カッシングが出ている一作目(シリーズでは四つ目の位置になってる『新たなる希望』にあたるやつ)を除けば思い入れは少なめのほうだと思いますが、ああ、そんなにアリスさん好きか私。(うん!(笑))

以下は鑑賞後、モスバーガーでポメラに吐き出した感想をベースに記します。前回の記事はなんか酔っぱらったよーな文章で読み返すとお恥ずかしいですが、今回も別の方向で酔っぱらってますー(@下戸)。キャスト話多め。パンフは買ってないので、そちらを読めば解決することを謎がっていたらすみません。(^^;)

*      *      *

出てましたあ~~!ジョナサン・アリスさん!💓 役名が議員というので元老院かと思ったら、反乱軍の評議会議員だったのですねー…! 全体にダークな色調の中、和服風の赤のでかい半襟(?)のついた、ちょっととってつけたような(笑)衣装でけっこう目につきました。でも気づいたのは声が先だった気がする。髭つき…だったような。(字幕読みながらだと画面に集中できなくて記憶があいまいです(^^;))めがねがないのはまあ、スターウォーズだし。名前があるのが不思議なくらいのちょい役でしたが、台詞はあったし、立ったままの円卓会議でヒロインの横、とわりと位置は恵まれてたのでは♪ 映るのがあまりに一瞬ずつなので、劇場で指が巻き戻そうとしていた自分が哀れです。(笑)

SHERLOCK陣では、他にショルトー少佐役だったアリスター・ペトリさんも出演。反乱軍の支部(?)のちょっと強面なリーダーでハマってました。他に、フォレスト・ウィテカーは『メッセージ』も楽しみですが、今回もいい役ですね。この作品は姿で語らないといけない。台詞なしでもキャラクターがわかるような、歌舞伎みたいなところがあります。それに見事に応えてました。

実は朝に歯医者に寄って、そこで流れてたテレビのワイドショーでローグワンの主要キャストと監督のインタビューが流れてたんですが……「すでに亡くなっている俳優もでているそうですね?」 という質問で思い出しました。そう、ピーター・カッシングターキンがCGで「出演」、というニュースが製作時期に流れていたのでした。(その他はまあ、お楽しみということで)監督は「ファンの人は嬉しいと思うよ」との答えでした。

CG、なかなかよくできてましたが、今時のビデオゲームクオリティという感じ。(ビデオゲームやらないけど、CMなんかで目にするので)やっぱり不自然なところはありますが、これは敢闘賞でしょう。声はほかの方なのか、合成なのかわかりませんが、ちょっと違うかなーという感じはしました。でもこれも敢闘賞。わりとちょくちょく出てきて気が抜けませんでした。(笑)

でも、私、ピーター・カッシングに惚れたきっかけはターキンだったので、今回これで初めてカッシング丈の「姿」を見て「なんてきれいな/かっこいいおじいさんなの」と転ぶ小学生とかいるんじゃないかしら、と期待しております。

そう思うと、自分がすでに「譲る側の世代」なのだと感じました。劇場を出てから、前を中学生くらいの男の子のグループが、映画の内容を話しながら歩いていて、なんかしみじみ。もちろんシリーズはDVDで見られるから、若い人だろうが子供だろうが、予備知識をもって見に来る層は多いと思います。それを織り込んで、オールドファン向けのサービス・オマージュてんこ盛りで、第一作に「つなぐ」という役割それ以外に言いようがない作品だと思いました。独立した作品として見るのは難しい。ラストも「ああ、ここにつながるんだ」という感慨で終わるので、第一作のスターウォーズ(おっと、『新たなる希望』のことです(^^;))がラストで一応カタルシスを得ていたのとは違います。

カッシング丈は、たしか(第一作でああなったので)続編に出られないのが残念、と自伝で書いておられたのですが……役に愛着があるのではなく、単純に俳優として「続きの仕事」につながらないことが残念、ということで(笑)……いやいや、見事に出演なさいましたよ。やはりね、別の敵役じゃだめなんですよ。あなたのルックスでないと。それくらい、あなたはこの作品に刻み込まれてるんですよ。エンドロールのキャストでも、Peter Cushing OBE (大英帝国四等勲士)と肩書き付きで出てきました。字が細かくて読めなかったですが、造型元ということでしょうか。それが普通にキャストの流れで出てくるのが嬉しかった。足元スリッパの画像をぜひ、とかくだらないことは言いますまい。(言ってる(笑))

CGターキンはけっこう何回も出てくるので、オールドファン向けのトリビュートとかオマージュではなく、完全にキャラクターの一人でした。それが逆に嬉しいような気がします。トリビュートとしては、別の作品でクリストファー・リーが演じたドゥークー伯爵の手の上で小さな3Gのデス・スターが再生されたシーンが最高にぐっときましたから、正直それを超えません。でもそれでいいんだと思うんです。

Xウイングの酔いそうな戦闘シーンの「●●リーダー」の点呼に至るまで、もう全編オマージュでした。キャラクターの役割もアレがアレ、と対照できる。東洋テイストも今回は本物の東洋人が担っていて。ドニー・イェンマーシャルアーツ版座頭市、かっこよかったです。もう一人のバブルガムブラザーズのトムさんみたいな東洋人さんとの絆描写も女子にはたまらんですねえ……!

個人的につかまれたのが、中東系イケメンでメッセージを運んだパイロット。触手ごーもんシーン(ちゃう尋問シーン)とかなんのサービスですか。(喜ぶな!(笑))この彼もだんだん重要な役になっていって、最後の一言がまた殺し文句で、これで同人誌ではマッツ・ミケルセンとのやおいが花盛りになるんではと期待しています。(たぶんはずれます(笑))

でも完全に「つなぎ」のお話が運命づけられてるので、なんかキャラクターがもったいない気がしました。主人公のジン、すごくよかったです。レイア姫が完全にスペースオペラのお姫様の造形だったことを思い出すと、今回のジンに安直な露出系サービスシーンがないこと、反乱軍の戦闘機パイロットに女性がいるところなんかも、時代の流れを感じます。

というわけで、一本の作品としては「スターウォーズ」の「アレをホーフツとさせる」の範囲を出ては行けない、という制約下で作られた作品だということは割り引かなくてはなりますまい。こまごまと重箱の隅のお宝が連続して、それでけっこう間がもってしまう作品でありました。イマドキの、ヒロインが活躍するアクション映画としては敢闘賞だと思います。…そして本物のカッシング丈を見直したくなりました……。(笑)

2016/12/11

"Arrival"を待ちながら/『あなたの人生の物語』の女性の描かれ方+『The Great Silence』!

テッド・チャンさん原作の映画"Arrival"、評判が良いようで、チャン氏自身が映画について語っている動画も出始め、もう来年五月の日本公開が待ち遠しくてたまりません。で、昨日原作の『あなたの人生の物語』を再読しました。久しぶりにきちんと読んだのですが、今回強く印象に残ったのは、「よくこんな女性キャラを描いたなあ」というところでした。以下はポメラに書き出した感想メモに引用などを加えたものです。ブログ用を想定していなかったものなので、ですます調になっていませんがご了承下さいませ。

*      *      *

『あなたの人生の物語』、むしろこういう女性キャラクターが描かれた、という点がエポックメーキングかもしれない。「見られるための」ヒロインではなく、リアルで聡明な精神を持った知的な女性の、「内面」を描いている。しかもSFで。(SFは未来を描いているにも関わらず、ジェンダーについては信じられないほど保守的だ)

リアルに感じたのは、たとえばこんなところ。(この作品は特に、翻訳も素晴らしいと思う)

(主人公の言語学者の女性と、ハイスクールの二年生になっているその娘が食事の支度をしながら話しているシーン)
「ったくもう」とあなたは言う。「あいつらったら、冗談でもなんでもない口調で、体重が問題だなんて言いだすんだから。あたしは男の子たちよりたくさんは飲まないようにしてるってのに、なんとか酔っぱらわせようってする子がまわりにうじゃうじゃいて」
 わたしはどっちつかずな愛想のいい表情を保とうとつとめてる。懸命にそうつとめてる。そしたら、あなたがこう言いだすでしょう。
「ねえ、ママったら」
「なあに?」
「ママだって、あたしぐらいの歳のころは、まったくおんなじことやってたんでしょ」
 わたしはその手のことはなにもやっていなかったけど、それをそのまま言ったら、あなたのわたしへの尊敬の念は完全に消えうせてしまうでしょう。
(ハヤカワ文庫『あなたの人生の物語』表題作 公手成幸訳 p.208)

娘と母がまったく違うタイプの人間として描かれていて、しかも、母は「いわゆる母親型の女性キャラ」ではない。(たいていの、特に男性向けのエンターテインメントでは、女性キャラは母親型と娼婦型しかない)かといって、「頭はいいが意外にも」美人で、白衣の胸元を大きく開けているような陳腐なキャラクターでもない。

映画化の発起人であり、脚本も担当したエリック・ハイセラーの苦労話として、スタジオに売り込んでいる間プロデューサーに主人公を男性にしろと何度も言われた、とあるのはよくわかる。ステレオタイプのいずれでもない聡明な女性、というのはある種の男性には想像もできないのかもしれない。映画産業がそれを標準としているのもわかる。だがそれこそが現実だ。「母親型」「娼婦型」は幻想に過ぎない。人間の多面性の一部として、それに似た属性をどちらか、あるいは両方持つ人もいれば、両方をともに待たない人もいる。当たり前のことだ。当たり前のことを当たり前として描いたから、画期的だと思う。大勢の目から色眼鏡を取り外させるこういったところが、知的な作品だと思うのだ。決して物理の法則を取り込んでいるからではなく。

そういえば、この物語のヒロインには外見を説明する描写がほとんどない。目の色が茶色だというくらいだ。髪の長さも体つきもわからない。男性作家が女性の体つきを「書かない」なんて驚異的なことじゃない?と皮肉を言いたくなる。

だからこそ、最初にこれを読んだとき、てっきり「この作者は男性の名前を使っている女性だ」と感じてしまった。この「女性性」のリアルさは、性別では女性である自分を超えている。(ぶっちゃけ自分には、こんなに自然に女性キャラクターや母性を描ける自信はない)同性愛者とも思えなかったのは、ミソジニー(女性嫌悪)も女性性の強調も感じられなかったからだ。この基準自体が男性差別的なのは自覚があるし、自分がよく知っているゲイの作家はE.M.フォースターなのでその比較に落とし込むのは申し訳ないが、感じたことを正直に書く。ゲイの目から見た女性の表現には、よく皮肉や妙な「記号としての女性性」の強調、女性に対する批評性を感じる。チャン氏の作品はむしろ視点が女性の内側から自然に来ていて、寄り添っているように感じられる。それでいて、女性性の強調はまったく感じない。穏当でリアルなのだ。私なんかよりもずっと女性に近い。驚異的な取材力と表現力ではなかろうか。そしてしっかり、男性キャラが「脇役」になっている。これに心地悪さを感じる映画プロデューサーは多かったはずだ。自然な形でのフェミニズムだとさえ思う。もちろん、作者にそんな意識はないだろうけれど。

映画がこういった側面をどれくらい継承しているかはまだわからないけれど、エイミー・アダムスはかなり得難い役を演じた幸運な女優になると思う。『羊たちの沈黙』でジョディ・フォスターが演じた役も、当時のハリウッド映画としては革新的だったけれど、「能力のある女性にとって性的な侮辱を受けることは当たり前」と考えられていた時代だったのだ、と今見ると思う。二つを(一方はまだ原作しか知らないけれど)比べれば、時代の進歩がとてもよくわかる。男性作家にはある種のリアルな女性は描けない、というのも偏見だということになる。(これは私が持っていた偏見にすぎないのかもしれないけれど)

読み返して、構成がみごとな小説だと改めて思った。『ゼロで割る』も構成で泣かされる小説だ。女性のドラマとして、そして両性にとっての現実的な「ラブストーリー」の範疇としてもすごく泣ける。これも少し手を加えるとかなりいいドラマに映像化できると思う。特殊効果はいらないから、テレビドラマの枠でも。……しかしこの主人公を女性にしたのはなぜだろう。チャン氏のメンタリティは興味深い。

*      *      *

以上感想メモでした。
久しぶりにAmazonでTed Chiang氏の名前で検索してみたら、映画タイアップ版の短編集"Arrival"("Stories of Your Life and Others"の改題版)の他、以前ネット公開されていた"The Great Silence"のkindle版も出ていました! これ、ものすごく短いんですけど、ほんとにほんとに珠玉の一本です。すごく泣きました。今回のkindle版の前書きにある通り、詩のような感触があります。""Exhalation"の原文もそうでしたね。淡々とシンプルな文章ながら詩のようです。(だから散文的に訳された日本語版には少し違和感を覚えたのでした)英語が少し読める方は、ぜひ辞書をひきながらでも原文を味わってみることをお薦めします。文章自体はわりとシンプルで「お行儀のいい」文体だと思います。


下はThe Great Silenceをチャンさんコーナーでご紹介した時の記事です。作品の書かれたいきさつと、さわりの数行だけ訳したものをご紹介しています。(読んだとき全文訳してしまったんですが、もちろん公開するわけにはいかないのでポメラの中で眠ってます。でも翻訳って究極の味読なので、訳している間が至福の時間でした。今も時々推敲して堪能しています。(^^))

テッド・チャン情報メモ The Great Silence (2015/5/20)
(PCサイトです。ご了承下さい)

同コーナーで、最近出たチャン氏の動画もご紹介しています。よかったら合わせてどうぞ。(新情報が乏しかったころの更新ペースがウソのようです……(笑))


ご紹介したkindle本、ArrivalとThe Great Silence。

   

Arrivalは、なんで主演のエイミー・アダムスではなくジェレミー・レナーが表紙なのかな?と思ったら、ペーパーバックは両方の画像がありますね。リバーシブル???

念のため短編集日本語版も。アンソロジー以外では唯一の邦訳書です。




2016/12/03

正気に戻れる音楽/スティング・伝説のライブ~40th バースデー・セレブレイション~

いやー、もう最高、最高、最高。1991年のスティングのLAでのバースデーライブ。先日BSで放映されました。

NHK洋楽倶楽部 スティング・伝説のライブin LA ~40th バースデー・セレブレイション~

特にラストを以前見た記憶があって、たしか「ハリウッド・ボウル」という会場名もこれで覚えました。当時放映されたんでしょうね。衣装や曲のアレンジも見覚え・聞き覚えがありましたけれど(でもこれは日本でのライブも同じだったのかも)、最後のド派手なファイアーワークが記憶通りだったのでほっとしました。うっかりツイッターで記憶を頼りにつぶやいてしまったのですが、最近記憶が入り交じってねつ造記憶になってることがあるので。(笑)終盤近くにちょっとしたサプライズもあるので、詳細はこれから見る方のために伏せておきますね。(まだNHKオンデマンドで見られます)

ここからは個人的なファントークになるのでお許しください。スティング、洋楽で唯一好きなミュージシャンで、洋楽でというか、「歌の入った音楽」はあまり聴かないので、CDが出るたびに必ず買った、というのはこの人くらいです。(あとは一時期の聖飢魔Ⅱ(笑))このライブの頃、二十代前半だった自分にとっては、スティングの曲は「聴くと正気に戻れる」音楽でした。なんか人様と接するときって精神的に仮面をかぶるじゃないですか。彼の曲を聴くとそれを外せて、自然な自分の感覚になれるというか。まあその年代ですからいろいろあったんですよね。電車のなかで聴いていて泣いてしまったこともあります。ああ、恥ずかしい。(笑)

友達が何かのサウンドトラックを「カセットテープに」(笑)ダビングしてくれたとき、「これいい曲だから聴いてみて」とついでに入れてくれた『ラシアンズ』がきっかけではまりました。たぶんアルバム『ナッシング・ライク・ザ・サン』が出たばかりの頃だと思います。歌詞が聞き取れたわけではないので、サウンドで充分やられました。

それから歌詞を知ってより深くはまり、しばらくして別の友達に見せてもらった「プロモーションビデオ」なるもの(当時そんなものがあるとは知らなかった(笑))でご本人の姿を見たらこれまたかっこよくてラッキーでした。(笑)でも最初に教えてくれた友達はそれきり邦楽の某デュオのファンになり、ビデオを見せてくれた別の友達も引っ越してしまい、その後ずっと身の回りにスティングを聴いている人はいませんでした。だから「世の中ではメジャーだ」という感覚がなく、ライブも一人で行っていて、「こんなにファンがいるのか」と驚いたくらいでした。(笑)ライブに行っていたのは『ナッシング・ライク・ザ・サン』から『ブラン・ニュー・デイ』のあたりまで。その後曲のジャンルが変わるにつれて距離ができて、最近は聴くとしても昔のCDでした。

曲はやはりその頃の、ジャズとロックが混ざったような感じが好きで、詞と相俟ってすごく美しいし、おこがましいかもしれませんが、自分にとって「しっくりくる音楽」であります。(もちろん多くの方にとってもそうだと思います)

歌詞の隠喩表現も魅力です。最初はもちろん訳詞を読んでいましたが、そのうち少しずつ原詞のほうも辞書をひいて読み合わせ、すべてではありませんが、キリスト教モチーフの意味付けなども補完して味わうようになりました。思えば曲がりなりにも英語を詩的に味わう、ということを覚えたのは、スティングの歌詞からかもしれません。直訳っぽい表現をかっこよく感じる、という感覚も、当時読んだ訳詞が影響しているかも。それから、ラブソングのテーマはうまくいかない恋愛や失恋のほうがいい曲になりやすい、という意味のことを言っていたのも覚えています。これ、ポップミュージックに限らないことのような気がしますね。(笑)

同じ曲がアレンジや演奏するときの演出で違う意味にとれる、という醍醐味も、この方のライブで体験しました。たとえば『ウィル・ビー・トゥゲザー』という曲。日本ではビールのCMでも使われたので、ある世代以上の方は無意識のうちに聞き覚えがあると思います。歌詞は「君と僕と赤ん坊」、と出てくるので「We」は家族であり、『セット・ゼム・フリー』の一部――「誰かを愛してるなら(そいつを自由にしてやりな)」――を一瞬引用してから続く「今夜僕らは一つになる」のリピートは、別の意味のラブソングのニュアンスでも聴けるのですが、これが黒人と白人の意味で「今夜僕らは一つになる」という大合唱になったこともありました。今回放送されたライブでは、またストレートなラブソングに聞こえました。

驚いたのが『ホワイ・シュッド・アイ・クライ・フォー・ユー』。大好きな曲なんですが(というか、この時代のアルバムは好きな曲ばかりで、驚くことに捨て曲がまったくないのです!)、この方、壮大でちょっと幻想的な情景・風景ラブソングに織り込んでイメージを広げるのがお得意な方なので、ずっとそのタイプの「ラブソング」だと思っていました。で、タイトルになってる部分は

Why should I cry for you? 
なぜ僕が 君を求めて泣かなければならないんだ?

…という感じで聴いていました。ところが、今回歌う前に「今日こられなかった(亡くなった)両親に」と言い添えたことで意味が変わりました。

Why should I cry for you?
なぜ僕は あなたを求めて泣くのだろう?

cry for(「あなたに向かって/あなたを求めて 泣き叫ぶ」)が、子供がそこにいない親を求めて泣くイメージと重なりました。同時にいい大人が親に対して、今まで疎遠だったのに(親が死んだあとの)今になってなんでこんなに恋しいんだろう、というような。曲の見事な変容です。

I loved you in my fashion
僕なりに 君を/あなたを 愛してたんだ

も対象が違うとニュアンスが変わって……なんとも得難い体験でした。

もともとこれが入っていた『ソウル・ケージ』は父親の死の直後のアルバムなので、そういうベースがあったのかもしれません。しかし二十数年間持っていたイメージがガラッと変わった瞬間は衝撃的で、感動的でもありました。

ライブを見始めて一曲目でもう「ああ、この曲についてブログに書こう」と思ったんですが、それが曲が変わるたびにそう思うんですよ。(笑)なんかえんえんと書いていられますが、きりがないのでやめておきます。しかし見ていて途中からぼーっとしてきてしまって。体調が悪かったのもあるんですが、この時のスティングの年齢をはるかに越えてしまったことをしみじみ感じました。踊ったりはしないタイプのライブですが、かなり消耗すると思います。体力あるなあ、さすがに。

でも、一度日本公演で風邪をひいて(?)まったく声が出てなかったことがあって、ファンながら「金返せ」と思ったことを思い出しました。たしかそのあとの公演はキャンセルになって、当時の写真週刊誌に露天風呂に浸かってる写真が載って、「ハダカになってごめんなさい」的なキャプションがついていたと思うのですが……謝罪にしてはずいぶんオレ様な写真だなあ、と思った覚えがあります。(笑)

…で、新譜の宣伝もしっかりされているのですが、「今のスティング」が……相変わらずかっこいいものの、すごく愛想のいいおじさんになってるのがちょっと印象的でした。とんがってないというか、一杯入ってるのか? と思ったくらい。(笑)あと五年で70だそうで、その時にまだ演奏活動をしていたい、と語っていました。70歳のバースデーライブ、ほんとに見てみたいです。

2016/11/20

ムーパラ終了。おつかれさまでした♪

ムーパラ終了


昨日は洋画・海外ドラマオンリー同人誌イベントMovies Paradiseに参加させていただきました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました! 朝にカタログを買ったにもかかわらず、見る前に紛失してしまい(泣)、ほとんどスペースに座りっぱなしだったのですが、おかげさまで楽しい一日でした。

今回はジョナサン・アリスさんメインの出展なので、まあいつもに増してまったり……と思っていたのですが、さすがムーパラ!ななんとのファンの方々に出会えました! 今回はアリスさん自身のお写真もディスプレイしたので、気づいていただきやすかったのかもしれません。しかもお一人じゃないですよ。複数です!もう大興奮!(笑)身辺で見ている人がまったくいない『The Game』のお話をアタリマエのよーにできたり、もう夢でも見ているようでした。このドラマがブレイクしなかったくやしさも共有できましたし、来月に『ローグ・ワン』が公開になるけどちゃんと顔は映るのだろうか、台詞はあるのだろうか……などなど、脇役俳優さんのファンならではの心配トーク(?)も楽しかったりするのでした。(笑)

それとルパート・グレイヴスのファンの方もいらして、『モーリス』のお話などいろいろさせていただき、こちらもとても楽しかったです。改めて、ムーパラは「映画の話をできる」というのが大きな魅力だなあ、と思いました。皆さんいろいろ見てらっしゃるので、一つのジャンルにこだわらずにいろいろお話できたり。ネットではそういう場はありますが、やはりナマでお話できる楽しさは格別ですね。特に自分、ネットへのアクセスが自宅PCのみなこともあって、ネットでのコミュニケーションがイマイチ得意でないので、ああいう場はこれからも残ってほしいなーと思います。(ただ、仕事での耳栓の使い過ぎからちょっと外耳炎をこじらせてまして、盛り上がってる会場だと声が聞き取りにくいことが時々あります。何度も聞き返してしまうことがあってスミマセン!(^^;))

本のほうは、SHERLOCK小説の『36時間のサファリ』『My Favourite Psychopath』、正典小説『追憶のシャーロック・ホームズ』の在庫がなくなりました。『36時間のサファリ』は最初からネット公開と平行しての紙版でしたが、おみやげ電子書籍としてまとめたものも同人サイトで無料配布しています。『追憶のシャーロック・ホームズ』はkindle版としてAmazonで配信中です。自分も紙の本が好きで、同じ内容でも電子版では代わりにはならない部分があることは感じていますが、作品自体はこれからもお読みいただけますので、今後ともよろしくお願いいたします。m(_ _)m

SUSSANRAP内 無料電子書籍コーナー

kindle版 追憶のシャーロック・ホームズ


イアンシリーズはJ庭ではオリジナルとして、二次イベントではアリスさんのゆるいあて書きとして持参していて、いつもどっちつかずのアウェイ感が拭えないのですが(^^;)、新刊を尋ねて下さる方がおられて嬉しかったです。それと同時に、新刊を持って参加できなかったことを申し訳なく思います。次の長編に時間がかかっておりまして、たぶんコミケ合わせも難しいと思うのですが、少しずつ、前作より良くなっている部分があるようにと念じつつ頑張っております。またどうぞよろしくお願いいたします。


そしていつものタカセ参り


朝はあいにくの雨でしたが帰りには止み、最近池袋が会場のときは帰りの定番になっている、駅前のタカセのグリルで一人打ち上げをしました。お店のおすすめメニューで気になっていたシーフードスパゲティを。エビホタテはさすがにぷりっぷり。で、なぜかが一緒に炒められて、古風なナポリタンというか、ケチャップ感のあるトマトソースであえられてました。仕上げにきざみのり。別に粉チーズがカレーの別添えルーを入れる容器で供され、タバスコも来ました。うわあ、なんかやっぱり昭和♪イタリア料理ではまったくなく、王道和製洋食です! 

ボリュームも充分でしたが、ただ味付けは…うーん…ちょっと残念かなぁ。ナポリタンソースが強烈で、素材の味が隠れてしまうので。あの素材の良さなら、むしろシンプルな塩味+ニンニク+白ワイン程度の味付けでいただいてみたかったなー、なんて思いました。

でも、お店に入るのがいつもより遅く5時を回ってしまったせいか、初めて見る初老のウェイターさんにお給仕していただき、ちょっと贅沢な気分を味わいました。なかなか最近ないですよ。年配のウェイターさん。イヴ・モンタンとは違うタイプの方でしたけど、「ギャルソン」と呼びたい……!(笑)

この時間になったのは、宅配発送に一時間もかかったためでした。長蛇の列を1つの受付で処理していて。ムーパラはいつも宅配に時間がかかりますが、こんなにもかかったのは初めてでは。ともあれ、そのおかげでちょっとだけ得したかもしれない、と思うことにします!

けっこう混んでいたので長居はせず、帰りに下のパン屋さんでデニッシュブレッド、こしあんパン、白あんパン、ボンリューというソフトなフランスパンを買って帰りました。満足です❤


次回は2日間開催!


次回のムーパラの予定がもう出ていて、来年2月11日、12日……なんと2日間開催になるんですね! 洋画と海外ドラマで分けられるようです。(うわーちょっとつらいなー(^^;))来年のその頃に二次の本を作りたい状況であるかどうか……しかも何の本を作りたくなるかわからないので迷っています。が、抽選落ちで泣く確率は確実に減りますね。詳細もまだ出ていないようなので、もう少し考えて決めようと思います。しかしそれだけ抽選で落ちるサークルさん多くなってるんですね。ジャンルの成長著しいようです☆

2016/11/16

ジョナサン・アリスさん出演"Tutankhamun"

本日二本目の更新。ジョナサン・アリスさん出演のミニシリーズ"Tutankhamun"、やっと放映になったようで、先日YouTubeに上がっていたのでこそっと貼らせていただきます。タイトルで検索してみると他にも出てきますが、とりあえず自分が見た1話を。アリスさん初登場シーンは13:30頃から。エジプト学者ハーバート・ウィンロック役です。公式ではないのでこちらはすぐに消えるかもしれません。ご興味のある方は今のうちに見ておかれると良いかもです。


アリスさんの出番は少なめですが、古風な丸メガネにきちんと手入れのされた鼻ヒゲで、発掘現場の姿のほかに正装姿も見られました。まだ1話を見ただけなのですが、予告を見ると2話もいいカットがありそうです❤ 全話出ておられるはずなのでちょびちょび攻略したいです。

というか、やはりきちんと字幕のついたのが見たいですね。日本でのリリースが待たれます。日本で比較的通りのいい出演者はサム・ニールくらいだとは思いますが、日本人はエジプトものとかけっこう好きだし、題材だけでもレンタル商品になる可能性はあるんじゃないかと……期待します!

さてさて、お話はツタンカーメンの墓を発掘したカーナヴォン卿と考古学者ハワード・カーターの物語なのですが、アリスさんが演じるウィンロックはああ見えて(?)メトロポリタン美術館の館長になる方だとか。もっと知ろうとググッていたところ、「ツタンカーメンの呪い」の文脈でこんなふうに書かれていました。

「カーターに協力していたメトロポリタン美術館のエジプト学者ハーバート・ウィンロックは、死んだ者たちの情報を集めてリストアップし、死因に因果関係がないことを明らかにした上で「ファラオの呪い」的考え方を批判した。直後にウィンロックはフランス人の妻に殺され、たちどころにリストの仲間入りを果たしてしまった」(『世界十大怪奇・ファラオの呪い』より)

ひー、奥さんに…!ほんとかしらん。(^^;)でも「呪い説を否定」してくれるあたり、アリスさん似合いそう❤(…いや、呪い説を力説する役でも似合いそう…って見られればどっちでもいいんか!(笑)) 今回のドラマのトーンはシリアスなのでオカルト路線の入る余地はなさそうですが、もしそこまで演じてもらえたら見てみたいですわー……♪(ミーハーでスミマセン!(^^;))

週末ムーパラに参加します

今週末11/19開催の洋画・海外ドラマオンリー同人誌イベント、Movies Paradiseに参加させていただきます。(池袋で土曜日開催なのでご注意下さいませ!)



今回は新刊はないのですが、ジョナサン・アリスさん(SHERLOCKアンダーソン本、The Game本、ゆるいあてがきマイルドBL小説シリーズ)がメインで、無料配布SHERLOCK既刊の在庫処分でセット販売もいたします。(セットで購入していただくと、一冊あたり100円程度お買得(?)になります。バラ販売もあります)他にピーター・カッシング等在庫のあるものを持参します。




無料配布
あてがきBL系小説イアンシリーズのお試し短編と、J庭配布の
お耽美補給レビューペーパーの残りです。よかったらお暇つぶしに。


セット販売
以下の3種類です。少数のものもあるのでご了承下さい。
他にレビュー系が2種残っています。そちらはバラのみです。





SHERLOCKではこれまでに19種(おい(^^;))作っているので、半分以上がなくなったことになりますね。日本初放映からそれだけ時間がたったんだなあ…と感慨が。今自分内で旬のジョナサン・アリスさんともこのドラマがなければ出会わなかったわけで、そうなると今メインの創作になっているマイルドBLシリーズも生まれなかったわけで……人生なにがどう転ぶかわかったもんじゃございませんね!(笑)

こんなサークルカットになってます。
おついでがありましたらぜひお立ち寄りください。

あ、アリスさんといえば、エジプト学者を演じているドラマ "Tutankhamun" (ツタンカーメン)、先日からようやく放映になったらしく、YouTubeで息抜きにアリスさんを漁っていたら(笑)上がっていました! ここに混ぜるとあとあと恥ずかしいことになるかもなので、ちょっと稿を改めて書きますね。

2016/11/06

コメダ珈琲店のモーニング+萬斎さんと『ブラス!』(フツーの日記的に)

今日は一日作品の準備を進めるつもりだったのに、横浜に行くはめになりました。昨日バイト先に近いツタヤ(近所の店より品揃えがいい)にDVDを返却し忘れたため。(^^;)うあー無駄に時間と電車賃が~!と悶々としてたのですが、どうせなら日頃行けない喫茶店でモーニングでも食べて(喫茶店のモーニング大好きなんです!)、大きいブックオフで古本でも見てちょこっとひとりデートにしよう、と頭を切り替えて急遽休日っぽくなりました。ここんとこほぼ外のバイト/うちでの賃仕事/自分の作品準備……の繰り返しで余白のない毎日だったので、いい気分転換になりました。

というわけで、以下は現地でポメラで実況中継(?)したものなどから抜粋なので、文体バラけてます。カメラ持って行かなかったので写真が撮れずちょっと残念。でも仕事道具一式で充分荷物が重かったので、あれ以上持たなかったのは正解。(^^;)

*      *      *

2016/11/06 09:22
モーニングをいただきに、コメダ珈琲店にきました。横浜駅近く(少し歩くけど)にできてたとは知らなかったー。沿線で別の店舗に入ったことがあって、そのときはシロノワール(デニッシュにソフトクリームが乗った、ここの名物スイーツ)の小さいのをいただきましたが、もうほとんど忘れてます。(^^;)名古屋式モーニングは有名ですが、セット→飲み物という決め方だったので、最初フツーのモーニングのつもりで「値段が違う飲み物はだめなんですよね?」とか聞いてしまったです。名古屋式はあくまで飲み物にサービスでパン等がつくんですよね。だから飲みものはなにを頼んでもいい。値段はもちろん変わりますけど。

コーヒーは最初から甘みをつけて持ってくるんですね。甘みとミルクもつけるかどうかを聞かれました。アイスコーヒーをふつうの甘みで、ミルク付きでオーダー。甘み強めとか、抜きとかお願いできるみたい。

モーニングサービスの定番はトースト+ゆで卵。あと、名古屋名物の小倉あんがつくのもありますが、今回はあらかじめネットで見て気になってたタマゴペーストつきを頼みました。トーストもバターかジャムを選ぶ。バタートースト好きなのでこちらを頼みました。バター+ジャムというのはできないのかな。

タマゴペーストはタマゴサンドの中身が小皿で添えられてます。トーストは厚いのを縦半分にしたサイズで、浅い切れ目で三分割されてます。アイスコーヒーはグラスでなく金属のマグで来ました。ちょっと新鮮。

まずはバタートーストだけ、そのあとタマゴペースト乗せでいただきました。タマゴサンド+コーヒー牛乳の組み合わせが大好きな私には黄金セット!これでこの席で420円なら大満足です。

座席はまた、ものすごく落ち着くとこがとれました。全体に視線が完全に隠れる高さの仕切があるのですが、二人席が壁際にひとつだけあるところをゲット。これ、軽く作業スペースレンタルの個室並みの雰囲気です。でも天井は高いし、完全に閉ざされてるわけではないので開放感ありで最高。椅子も、ドトールになれた身には柔らかくて大きい。体が沈むかんじ。落ち着きます。耳栓ができれば最高の仕事スペースになりそう。今外耳炎で耳栓できないので、イヤーマフを持ってきましたが、BGMもうるさいというほどではないし、日曜の朝のせいかおしゃべりも気にならない程度。このままでいこう。

2016/11/06 10:26
十時前頃から騒がしくなってきた。人の出入りが増えた。そうか、セルフサービスでないところはオーダーとってくれて楽だけど、いらっしゃいませとかひっきりなしに声が聞こえてくるんだな。結局イヤーマフをしてる。

……

この界隈はなんかいいな。プラタナスの並木と幅の広い道路。大きな建物。まるで駅周辺とは別世界。こういうとこに通えたらいいな。でも、仕事場にすると新鮮味が失せるから、休みにくるくらいでちょうどいい。たぶん、平日はもっと混むんだろうな。

(※↑勝手なこと言ってます(笑)。このあと周辺を散歩して、大きなブックオフに寄って帰宅)

2016/11/06 15:13
昼食はうちで。そのあと先日録画した野村萬斎さんのシェイクスピア番組を見る。

……

さっきの番組で得たこと。文章でものを作るのも、過程は「稽古」だということ。演劇の「稽古」はすごく近いと思った。完成型が見えているというより、その過程で出てきたもので完成度をあげていく。もちろん違う書き方はたくさんあると思うけれど、自分がやってる書き方はそれに近い。書くことは「稽古」だ。頭のなかにゴールがあるわけじゃない。ただ、方向はある。こういう感じにしたいという感覚はある。あ、もしかしてこれのことか。チャン氏が言っていたのも。

……

2016/11/06 20:55
『ブラス!』鑑賞。イギリスの炭坑町のブラスバンドの話。実話がヒントになってるそう。音楽のちからをすごく感じた。泣かされてしまった。特に『ダニー・ボーイ』と『威風堂々』。メロディーだけでも涙腺に来る曲な上に、文脈との絡め方がどちらも効果的。特にラストの威風堂々はキたなあ…。ピート・ポスルスウェイトがもういないことを思うとよけいに泣けてきた。

演出とかキャラクターの設定に「そんなうまい(お話的に都合のいい)設定ってあるかよ~」とツッコミたくなるところは多々あるのだけど、そういうところを呑み込んで成立するイギリスの一連のほのぼの路線映画(と言い切るのは語弊があるけれど)、というのがある。地方の人々が類型的に描かれて、笑えてほっこりして泣ける、というような。たいてい厳しい社会背景があるのだけど、そこをシリアスに描くのではなく、朝ドラ的なわかりやすさやユーモアでくるむ独特の路線。(←褒めてます)学びたいところもある。だからこそ借りたのだけど、1つ1つのシーンが「作られてるもの」なのだ、というのを改めてひしひしと感じた。

*      *      *

てな感じでした。そしてブログまで書いて(笑)、ほんとに休日っぽい一日満喫しました。たまにはこういう一日もいいな、と思います。ほんと最近、余裕がなさすぎました。てか確かに時間的には余裕ゼロなんですけど(^^;)、作品のほうは「これだけの時間をかければOK」という基準がないのがつらいところ。何をするにせよ、精神的にはなるべく余裕をもってかかりたいものでございます。

2016/10/29

コミケ当選しました!+ハロウィーン無料配信のお知らせ

コミケ当選しました!


昨夜コミケの当落が判明しまして、創作(JUNE/BL)では初めてスペースを頂けました!(涙)

12/30(金) 西み29b SUSSANRAP


カットの通り、イアンシリーズがメインです。進行中のシリーズ新作が間に合えば、そちらが新刊になります。お試し短編2種は引き続き無料配布の予定です。他に既刊のオリジナル微耽美系小説、二次の在庫(イアンのモデルジョナサン・アリス様萌えのスパイドラマThe Game本、SHERLOCK本など)を持参予定。もしかしたらkindleサイトのほうで連載したSFエンタメ小説総集編も紙にするかもしれません。詳細は決まり次第お知らせさせていただきます。m(_ _)m

ウェブカタログのアドレスはこちらになります。ご利用なさる方はぜひチェックしてやってください。


(要ログイン)

既刊在庫については、母艦サイト内の「同人誌な部屋」でご案内しています。
(SHERLOCKはなくなっているものも多いので、ご確認いただきますようお願いいたします)



創作JUNEで申し込み始めてから落選続きだったので、もうこのジャンルでは一生取れないんじゃないかとうじうじ思っておりました……。(^^;)ジャンル初参加なのですべて新刊みたいなものですが、新作が間に合えば理想なので頑張ろうと思います。(でも無理な見切り発車はしないつもりです!)


ハロウィーン無料配信


コミケのメインになるイアンシリーズから、ハロウィーン合わせで既刊電子書籍の無料配信を行います。シリーズお試し短編で設定のご案内つきですので、前作未読の方にもぜひお試しいただけたらと思います。

無料配信
10/30(pm 5:00)~11/1(pm 5:00)
(時間は前後することがあります。ダウンロードの際は価格欄をご確認下さい)
History: 低体温男子イアン・ワージングのハロウィーン
(イアン・ワージングシリーズ2)
マイルドBL・MM系小説(R15程度)です。

ゲイの歴史ライターイアンの、元彼とのハロウィーンのお話。シリーズ中では少ししっとりとした一本だと思います。(長編やもう一つの短編はもう少しコミカルなので(^^))お楽しみいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

2016/10/09

アテンション・スパン(注意力を維持できる時間):テッド・チャンさんインタビューから(リンクと拙訳)

ちょっと間が空いてしまいましたが、先日言及したSF作家テッド・チャンさんのインタビューから、「インターネットの影響で注意力を維持できる時間が短くなった」というお話について。

自分も同じことをかなりシビアに感じているので、じつはこの長いインタビューで一番印象的だった箇所でした。(ここ数年対処法を模索しておりますー(^^;))しかしチャン氏がこう言っていたというのは正直ショックでもあり……というのは(インタビュアーさんも言っていますが)この方、IT業界で働いているらしいのですが、公式サイトもSNSも(少なくともこの名前では)やっていなくて、自分の目には「ネットから賢い距離の取り方をしている好例」と映っていたからです。使いこなしてはいるけど振り回されていない、というイメージを持っていました。その方でさえこう言ってるというのはちょっと安心(?)する反面、それじゃうまく対処していくことはやはり難しいのだわ……と、ちょっとしたゼツボー感も覚えました。

インターネットは仕事にも生活にももはや必需品ですし、同じ問題に直面している方も多いと思うので、インタビューからその箇所をご紹介させて頂きます。(注意力の問題は後半に出てきますが、話の流れがわかるように少し前からご紹介させていただきます。その箇所ももちろん興味深いお話でした。今で言うUMA系も好きだったというお話には勝手に親近感を覚えました!(笑) インタビュアーさんは十年来のお友達とのことなので、ですます調を避けて訳させていただきます)

インタビュー原文ページ

毎度ですが、ファンが思い余って勝手に訳しているもので、記事の著作権はリンク先のサイト様所有です。
問題が生じましたらその時点で削除させていただきます。m(_ _)m
(I don't own the rights to this interview. All rights belong to the website above.
Just as a fan, I translated a part of this interview into Japanese personally.)


*      *      *

M(ミーガン・マッキャロン): 最近あなたとは、書き言葉が私たちの意識に深く根付いていて、自分たちがもし文字ができる前の文化に生まれたら、と想像するのは難しいって話し合ったわよね。あなたは別のインタビューで、アシモフがサイエンス・フィクションを書く最初の刺激だったと言っていた。あなたを読書と書くことに引きつけたものは何で、いつ頃だった? 今それとの関係はどうなってる?

C(テッド・チャン): 自分たちがどれほど深いレベルで生まれ育った文化の産物か、それを考えるのは興味深いよね。ものの認識の仕方というレベルまでそうなんだ。僕たちはみんな個人として、いつどこに生まれようと変わらない、何か本質的なものが自分たちの中にあると考えたがるものだけど、自分が何者かを定義する営みの多くは、完全にそれぞれの文化特有のものだ。音楽はすべての文化にあるように見えるから、ミュージシャンは生まれた文化のなかで音楽がどんな形をとっているかに関わらず、音楽に引きつけられるかもしれない。だけど、僕は書き言葉がない文化のなかでは何に引きつけられるだろう? 語り部(ストーリーテラー)になるとは思えない。口頭によるストーリーテリングは完全にパフォーマンスだし、僕はパフォーマー向きじゃないから。

何が読書に引きつけたか、ね。子供にしてはガツガツ読んでたよ。だけど初等学校の頃には、フィクションよりノンフィクションに興味を持ってた時期があった。動物全般や、とくに爬虫類の本を山ほど読んだのを覚えてる。奇妙なものについての本も好きだった。ビッグフットとかネッシーとか。四年生の頃、教室で『クローディアの秘密』を読まされてた頃には、自分ではバーナード・ヒューベルマンの『シーサーペントを追って』を読んでたんだ。うわ、この本のことなんて長く考えたことがなかったよ。思うにサイエンス・フィクションを知る前は、そうやって不思議なものへの飢えを満たしてたんだろうね。

今では、悲しいことに読書との関わり方が変わりつつあるといわざるを得ない。僕は今も確かに本を読むけど、注意力(アテンション)を維持できる時間がインターネットのせいで短くなってるのがわかるんだ。評論家のキャサリン・ヘイルズが、難しい小説を読むときに使う「ディープ・アテンション」と、たくさんの違うタスクを瞬時に切り替えるときに使う「ハイパー・アテンション」の違いを指摘してるけど、僕らのほとんどは自分たちが前者から後者にシフトしてると感じてるんじゃないかな。これを止められたらと思うよ。

M: あなたにとって注意力を維持できる時間が短くなってることが問題だ、というのはすごく興味深いし、少し怖くもある。だってあなたは作家としてSNSで活動してないから。ネットのどこで時間を使ってるの? ネットに時間を費やすことに、何か肯定的な面があると思う?

C: SNSから離れていても、インターネットは影響力を持ってると思うよ。単純に、あらゆる分野の最新情報をどれくらいの頻度で期待できるかが変わった、という形で。以前は、一般的なニュースは毎日手に入っても、特定の興味がある分野の最新情報は雑誌で週一回か、たいていは月一回だった。今はいろんなウェブサイトをブラウザのタブで開きっぱなしにできて、それぞれが一時間単位でアップデートされていく。だから最新情報を見るためにひっきりなしにタブを切り替えて、ページをリロードすることに慣れてしまう。そしてもちろん、ネットの記事はたいてい印刷された記事より短いから、読み方がそれに順応する。昔から、誰でも「これは面白そうな記事だな。でもちょっと長い。取っておいてあとで読もう」という長さの基準はあったけど、ネットでより長い時間を費やすほど、それは短くなると思う。

ネットで時間を費やすことの肯定的な面はよくわからない。その「肯定的」が「人を惹きつける・楽しい」じゃなくて「本当に良い」という意味ならね。ひっきりなしに最新ニュースを得ることは、世界や特定のコミュニティによりつながっている、という感覚を僕らに持たせると思う。僕は葛藤してるんだ。僕の中の一部は確かにテクノロジー好きだし、サイエンス・フィクション・ライターとしても、たぶんインターネット・カルチャーについてのなんらかの見識を持つべきだと思う。だけどインターネットを巨大な図書館としてもっとうまく使いこなせたらと思うよ。あらゆるチャンネルにつながってるテレビとして使うことなしにね。


*      *      *


…まったくですよねー。(^^;)以前はこんな問題が起こるなんて想像もできなかったし、それこそ巨大な図書館に部屋からアクセスできるイメージしかなかったです。…自分はスマホを使ってないんですが(現代人としてはもはや絶滅危惧種かもしれません(笑))、最近は「スマホをいじらなかった時間を計測して、いじらないことを支援するスマホのアプリ」という矛盾したものもあるそうですね。対処には混迷が続きそうです。(笑)(←笑ってる場合じゃない~☆)



関連リンク


母艦サイト内:テッド・チャン情報メモ(2018/10/11改称・「テッド・チャンさん備忘録」)
(他の部分のインタヒュー拙訳などを掲載)

SUSSANRAP kindle books ブログ過去記事
創作について(テッド・チャンさんインタビューから)

当ブログ過去記事
『完全主義者』テッド・チャンさんインタビュー(リンクと拙訳)


2016/10/05

J庭終了ご報告

遅ればせながら、日曜日はJ.GARDENに参加させていただきました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました!新刊がなく代わりに無料配布三本立て、という参加でしたが、いつもの感じを考えるとそこそこお連れ帰りいただけ、既刊のご感想もちらりと伺えました。J庭で人様のお口から「イアンくん」とお聞きできたのは不思議な感じで(*^ ^*)、とても嬉しかったです。イアンシリーズ長編の『ネガティヴ・ケイパビリティ』もちょっぴりお買い上げいただけました。楽しんでいただけていますように!


こちらが完成版ペーパー表紙。題字を赤にしてみました。
製本してませんがA5で12ページ(本文8ページ)の小冊子(?)でした。


上記に既刊のお試し短編二つを並べて配布させていただきました。
身請けしていただいた皆様ありがとうございました~!m(_ _)m
  

ペーパーの内容はお知らせしたとおりで、秋のお耽美読書おすすめ本『クィア短編小説集』と『イヴ・サンローランへの手紙』、それにサンローランの伝記映画二本(『サンローラン』『イヴ・サンローラン』)のレビューがメインでした。他に最近の活動報告(おもにKindle Unlimitedなど)と、テッド・チャンさんの『あなたの人生の物語』映画化の話題(原作のおすすめを含めて)、最後にkindle本の宣伝(^^;)を入れさせていただいてます。(あ、映画はいつのまにか邦題『メッセージ』になっていて、公式サイトもできてましたね!あとで母艦サイトの情報ページに記録します!)

じつはこのペーパーに感想を含めようと、近所のツタヤさんにドキュメンタリーのほうの『イヴ・サンローラン』の取り寄せを頼んでいたんですが、間に合わず断念しました。今日別のものを借りに行ったら、9/25にメール連絡していたとのことでガックリきました。でも結果的に、テキストのボリュームとしてはなくてよかったかもしれません。映画の話は筆が走りがちですし、そっちの比重が高くなると、「読書の秋」のコンセプトとも外れてしまいますし……借りたDVDはこれから楽しもうと思います♪

無料配布メインということもあって、お手にとっていただきやすいように何度か留守の時間を作ったので、いろんなサークルさんのディスプレイとか見て回ることができました。(いつものBelne先生の新刊もゲット。お忙しい中同人誌の新刊を作り続けていらっしゃること、とても尊敬しています。読むとパワーがいただける気がします)

オリジナルオンリーではいつも思うことですが……二次と違って、オリジナルの同人誌をイベントで足を止めて手にとっていただくことが、いかに難しいことかと改めて。見ていると、「これだけハイクオリティのイラストが掲げられていても、たくさん並んでいるとけっこう目が慣れてスルーしてしまう。うちなんざ、たとえご同好の方がいらしたとしても、目に止まったら奇跡……」と納得してしまいます。

それと、J庭参加サークルさんとひとくくりに言っても、活動・作品の方向はほんとにさまざまなので……やはり一目でわかる共通キーワードに落とし込めないものはアピールするのが難しいですね。特に文章の作品は、読んでみないとわからないですから……。でもあきらめたらそこでゲームセット。まずは存在を知っていただくことからなので、地道にお試し無料配布を続けていこうと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします!

今回の反省としては、ペーパー表紙兼帰っちゃうの?ポスターの絵ヅラがロングぎみだったこと。掲示コーナーの各サークルさんのポスターを拝見したりして、やはりこのサイズでは(自分の絵柄の地味さ加減は別にして)せいぜいバストアップでないと映えないな、と思いました。絵としては描いてみたかったポーズで、キャラ絵というより、時間はかかりますが背景含めた全体で雰囲気を作るのが好みなので、今回は写真加工併用ですがそれなりに満足してるんですけど……やはり目に止まるのは顔。特にポスターはA4でこの絵では表情もわからないですし。(ポスターの規定は最大サイズB4なんですけど、家庭用インクジェットで刷ってるのでA4限界なんですよね~(^^;))

それと、ほとんどのサークルさんのポスターはカップルの絵なんですよね。BL同人誌のイベントなんだから当たり前で、だいぶ前から気づいてはいたんですが。(^^;)でも作品によってはそうでない絵もありますし、そもそも自分の作品はがっつりBLとは言いにくい切り口ですし、J庭はさまざまなものを受け入れてくれる場ですし……ジャンルのお約束をアレコレ考えるよりも、作品を自分が納得できるように充実させて、その内容を絵で表現できるようになりたい……と思います。

今回も荷物はすべて宅配で搬出したので、帰りはまた駅前のタカセのグリルに寄り、すっごく疲れていたので「肉だ肉肉ーっ!」と思い切ってハンバーグを。スープ+サラダ+ライス+ドリンクのセットでがっつりいただきました。目玉焼きが乗ったデラックス感が嬉しかった。そしてでかかった。多すぎてライスは残しましたが、肉は胸やけしつつもなんとか詰め込んできました。おいしかったです♪

お店に入った時間がまた四時頃だったせいか、お客さんは少なく、それも年齢高めの女性のおひとり様がほとんどで居心地がよろしいのでした。お店のBGMがまた……昭和の「大衆的そこそこ上品」路線というか……昔の映画音楽やカーペンターズのオーケストラカバーだったりして。ちょっと懐かしいたそがれ感が、これまたたまらなく落ち着くのでした❤

帰りにいつも通りパン屋さんのほうに寄って、よもぎパンと初めてのはちみつパンというのをお土産に買って満足して帰ってきました。帰りの電車で一眠りして、起きたときには視界がすっきりしていたので、肉パワーあなどれないです。(笑)次はお店のおすすめのシーフードスパゲティを食べてみたいです。

2016/09/30

10/2 J庭のお知らせ

直前ですが、10/2のJ庭のお知らせです。新刊がないので、無料配布のレビューペーパーを作ることにしました。製本しない小冊子みたいな感じです。表紙イラストはイアンが公園でひなたぼっこしながら秋の読書中。薄着なので暖かい日なのだと思います。(寒がりなので(笑))「帰っちゃうの?ポスター」とペーパー表紙兼用です。余裕があれば手直しするかもですが、とりあえずのお知らせです。ペーパー表紙もインクジェットですがカラーで刷るつもりです。(インクがなくならなければ…!(^^;))

この片足乗せるポーズ、モデルのジョナサン・アリスさんがよくやるので
描いてみたかったんですよね~。(笑)ちょっと角度がつきすぎましたが野望達成☆

こちらは仮に組んでみたペーパー表紙。
全体を縮小すると顔が小さくなりすぎるので、トリミングしようかなーと思ってオリマス。

中身はただいま絶賛推敲中。秋のお耽美読書におすすめの本ということで、このブログでも以前ちらりとご紹介した『クィア短編小説集』の感想文(途中ですが)と、映画を見てから軽くマイブームのサンローラン関連で『イヴ・サンローランへの手紙』レビュー(kindleサイトのブログに上げた感想の抜粋に伝記映画2本の感想を加えて再構成)の予定です。

当日の持参品はイアン・ワージングシリーズすべて(2種はお試し短編小説の無料配布)と、『王殺し』などオリジナルの在庫のあるもの。すべてコピー誌(自宅プリンタ印刷・手製本)です。紙版『追憶のシャーロック・ホームズ』(これだけオフセット❤)が少しだけ残っているので、これも持参します。

無料配布本2種と上記のペーパーを並べて置く予定ですので、無料配布だけでもお連れ帰りいただけたら嬉しいです。短編はkindleで設定可能な最低価格で配信しているものです。お足代にもなりませんが、よかったら。配置は以下の通りです。

・配置ナンバー「せ12b」
・サークル名「SUSSANRAP(サッサンラップ」

おついでがありましたらぜひお立ち寄りください。まったりとお待ちしております♪





2016/09/16

漫勉感想メモ(池上遼一先生)+近況(J庭予定など)

漫勉感想メモ


昨夜録画した、池上遼一先生の『漫勉』を朝から視聴。いろいろ目からウロコなのでメモを。漫画絵を描く個人としてのメモなので(かつ池上漫画ファン、という立場ではないので(^^;))、あらかじめご了承下さい。


・定規でアタリ

キャラの顔の中心線を、なんと定規で引いていた。あの顔のパターン化された感じはそこから来るのか、とも思ったけれど、こうすると絵が安定するとおっしゃっていたから、意識しての、良い意味での「ワンパターン」なのだった。
自分は「フリーハンドでまっすぐな線が引けない」とか「水平や垂直がフリーハンドでうまくとれない」と自分の未熟を責めてストレスになることがある。バカみたいだったなー、と思った。あっさり定規を使えばよかったんだ。(そりゃそうだ)


・パソコンで顔を左右反転

右利きで右向きの顔がうまく描けないのはほぼ誰でも感じることだと思う。そして「それは未熟なためで、できてこそプロ」みたいなド根性要素だと思いこんでた。それがあっさりパソコンで左右反転。ベテランが。しかも画力が売りの漫画家さんが。目からウロコ。それもうまく描けないからじゃなくて、「左向きの絵に自信があるから」。この発想の転換は大事だと思った。どうも自分はウイークポイントをさらけ出さないとズルしているみたいで心地悪い、という感覚があるようで、絵に限らずあえて苦手なもの、知らないものを優先してアピールする傾向があるようだと気づいた。そうでなくて得意なもの、自分が比較的うまくできること、比較的詳しいことを優先して人様に供するというのは、考えてみれば一番のサービスなのであった。自分のなかで最上のものを出すのだから。

・色気の探求(「萌え」に逃げるな!)

男性の肉体が好き、と筋肉の色気を語る言葉はまさに萌えだ。この言葉はあえて照れ隠しに使うことも自分はあるけれど、萌えという言葉では取りこぼすものがあるのも当然ながら事実だ。端的に言えば、作る立場にいるときに言う萌えとは美と色気の追求なのだ。別に遠慮することないのだ。美男美女を描きたい、憧れを描くとはっきりおっしゃる、なんという潔さ。

・原作もの

原作ものはある意味(同人誌で言う)二次創作と同じ強味を持つんだな、と思った。幹はできてるから、その分細部にこだわる余裕ができる。というか、そこがしどころになる。原作つきマンガの場合は絵に力を注ぐことになる。分業のメリットは、少なくとも商業で量産する場合には時間との勝負なのだから、あると思う。でも自分にとって大きかったのは、原作うんぬんに関係なく「細部に力を注いでもいい」という、へんな解放感なのであった。

・斜線(?)

しゃっしゃっと線を重ねて陰影を出すペン画の手法。これはむしろ楽だと思う。もしかして、これも「自分の苦手なことを優先した」ための感覚なのだろうか。グラデーションがあるはずの影をトーンの境目できっかり、と「翻訳」する作業のほうが自分には難しい。へんな言い方だけど「これでよかったのか」、とこれも目からウロコ。自分に合ったやり方を探して実践していくのがなにより大切なんだな、と。自分はこれまでそこで遠慮しすぎ、別の言葉で言えば怠惰すぎた。ルールは別の誰かが作るもので、それに従わなくてはと思っていた。この年で今さらとは言わずに(^^;)、「自分に都合のいい手法」の探求をしなくては、と思った。



…じつは池上遼一さんのマンガはきちんと読んだことがないです。絵柄や題材も好きかというとちょっと違う。だから読んでいないのだし、ああいう絵柄で描きたいというわけでもない。でもすごく根幹のところで得るものが多かった漫勉でした。いつもながら、この番組見ると絵が描きたくなりますね。…余談ですが、この番組で「ガルパン」の意味を初めて知りました。いやー、ツイッターでよく見かけるのでなんのことかと思ってました。すっきりしたー☆(笑)

漫勉公式サイト内 池上遼一 (動画や対談の未公開部分も見られます)


*   *   *   *   *

近況

春から外のバイトを始めまして、慣れるまで他のお仕事は控えていたのですが、久しぶりに翻訳のお仕事を受注させていただき、バイトと両方でだいぶ時間を割いています。J庭は新作ムリ確定です。でも最近接した耽美なものについての長めのペーパーと、過去の無料配布短編小説の再頒布…くらいは持って行きたいです。もちろん既刊も。漫勉で絵を描きたくなったので、なにか新しい絵で帰っちゃうの?ポスターも作りたいです。今回お題が学生服なので、ちょっとそちらには添えないかもですが。(笑)

イアン・ワージングものの新作長編は冬コミ合わせに変更して資料吸収を続けていましたが、ようやく話の方向今回の題材の世界観がぼんやり身についてきた感じです。これまではちょっと、「頭で考えたこと・調べたこと」を彼に押し付けている感じで、ゴツゴツしてて自然な動きが出てきてなかったんですよね。遅れているのは、クラッシュ(自主的缶詰)状態を思うように確保できてないのが大きな原因だと思います。今の時点でやっとこの状態、では冬コミも危ないかなあ……とも思いますが、見えない波に乗れてきたのは確かなので、焦らず行こうと思います。せっかくスケジュールを作品に合わせられる環境なのですし、冬コミとれるかどうかもまだわからないですし……。今回はちょっとしっとりした話になりそうな気配です。(でも想定外の動きが出たら生かしたいので、イアンをなるべく自由にさせるため予告は控えます~(笑))

kindle版電子書籍は、日本ストアの読み放題が始まってから、ホームズ系以外もお読みいただけています。ありがとうございます。普通のご購入もほとんど減っていない(もともと少ないので差が目立たない?(笑))です。読み放題で読まれたページ数に応じて報酬はあるのですが、もちろん普通の販売よりずっと低いので、もともとたくさん売れていた本だと実質の売上が減って読み放題から撤退、というケースが出ているようです。でもうちは今のところメリットばかり。読んでくださる方の幅が広がる機会になっていると感じます。ありがたいことです。(お気に召していただけた方、よかったらぜひ他の作品も覗いてやってくださいませ。m(_ _)m)

やはり日本語小説はほとんど日本ストアでお読みいただいてるのですが、先日珍しくイギリスのストアで、イアンの一作目の分冊版をお読みいただきました。イギリスが舞台のお話なので冷や汗ものですが、楽しんでいただけていればと思います。

…じつはブログ用の下書き記事が山ほどあるのですが、推敲途中で期を逸してもはやアップできないものもあります。(萩尾望都先生の展覧会の感想とか今さらですし(^^;))今日もほんとはテッド・チャンさんの先日のインタビューから、ココ数年自分も悩まされている問題に言及していたのでそのご紹介と、それにからめたアレコレを書いて推敲していたのですが、漫勉見たばかりで勢いがあるので先にアップしました。ストック記事も少しずつ仕上げて上げていきたいです~。(映画感想は書けないまま見た作品数だけ増えています~(笑))

2016/09/03

英国俳優の海映画3本:『ブラック・シー』、『プレッシャー』、『For Those in peril』

前回長すぎて切り取った映画感想シリーズ。資料用に漁っているイギリス関係の深海もの・海洋ものから3本で、それぞれジュード・ロウマシュー・グードジョージ・マッケイ主演です。珍しく比較的新しいのばかり。特にマッケイ君の"For Those in Peril"は日本未リリースながらめっけものでした。思わずにわかファンに❤(笑)

『ブラック・シー』(2014)

ジュード・ロウ主演。役はサルベージ会社をクビになった潜水艦の操舵手で、「黒海に金塊を積んだUボートが沈んでいる」という一攫千金話に乗ります。「Uボート」「金塊」はトレジャーハントものでは人気のある組み合わせだと思いますが、ここでは冒険もののノリはありません。あくまで経済的な苦境からの行動。ロシア人を含め、喰詰め者のクルーを擁して現場に向かいますが…。クルーの対立などかなり容赦ない展開。暗いですが見応えはありました。

なにより貫録の出たジュード・ロウに刮目。もともと「顔が整ってるのはわかるけど自分好みではない」(ごめんなさい(^^;))という距離感で眺めていた俳優さんですが、労働者階級のアウトロー的キャラクターがなかなか似合っていて、自分内では株が上がりました。
(ちなみに過去に一番似合っていると思った役は『A.I.』のエスコートロボット。作品自体もう埋もれているかもですが、お見事だったと思います♪)

『プレッシャー』(2015)

こちらもイギリスの美男俳優、マシュー・グード主演。役は石油会社に雇われている職業ダイバーで、嵐で潜水鐘が海底に取り残されるサスペンス。メインキャラは三人なのですが、中に「もうすぐ父親になる若者」が混じっていることなど、『ブラック・シー』と妙に話の流れが重なります。どちらも主人公が、若者に「(父親になるのは)怖いだろう」と言い、企業が悪役。ただ、『プレッシャー』のほうは、加圧や減圧についての描写に「えっ?」というところがあり(勉強中なので気になったまでで、演出とか自分の思い違いとかあるかもしれませんが)、ちょっとそこが気が逸れました。ストーリーもわりと「そのまんま」進むので、正直見応えは劣りました。こちらも暗い映画です。

奇しくも両方美形俳優として鳴らした方が転身(?)して、こういうやりきれない物語の労働者を演じているところに、良い・悪いという話でなく、時代や時間の流れを感じた2本でありました。日本で自分が見て特に印象に残っているイメ―ジに基づいたことなので、もちろんいろんな役はなさっているのでしょうけれど。
ちょうどEU離脱なんかもあったので……映画が作られたのはその前ですけど、経済的な状況の流れが映画の企画にも影響してるんだろうなー、なんてことも頭をかすめました。「こういうキャストのこういう作品で観客が入る=共感を呼べる」という読みがあるはずですから。

…両方俳優さんの演技等は文句なしなのですが、映画としては満足度がいまいち。「こうすれば面白くなるかも」を脳内シミュレートしてみるとすごく勉強になりそうです。

『For Those in Peril』(2013)

こちらは現代のスコットランドの漁師が出てくる映画、ということで探してやっと見つけた一本。日本盤が出てないのでアマゾンUKでPAL盤を購入しました。(日本ストアにも出てますが、比べたときは送料含めてもUKのほうが安かったので(^^;))主演は最近ちょっと注目しているジョージ・マッケイ君――実話ベースの『パレードへようこそ』で80年代のゲイ・ムーブメントに参加する青年、スコットランドのミュージカル映画『サンシャイン 歌声が響く街』ではアフガニスタンでの兵役を終えて帰還した青年を演じていました。(この2本も感想書き損ねてますがよかったです!)

今回の映画は初めて漁に参加して遭難し、一人だけ生き残った青年の物語。低予算映画で、イギリスのインディペンデント・フィルム・アワードを受賞しています。

生き残りの彼が周囲から受け入れられず、彼自身は一緒に漁に出た兄の死を受け入れられない、という苦悩が、少し幻想的な描写を交えて描かれます。子供の頃に母に聞いたおとぎ話を繰り返し思い出し、兄は死んでいないという考えにとりつかれ、やがて精神のバランスを失っていきます。その過程で、生前の兄との関係も複雑なものであったことがわかっていくのですが……。

圧巻はクライマックス。一見救いのないエンディングにつながる行為なのですが、これが彼にとってはまったく別の意味を持っている、というのがわかった瞬間に、鳥肌が立つような感動がありました。ここはネタバレしちゃ台無しなので、いつか日本盤が出たときのために書きません。が、ラストはじつに独創的です。かつそれまでのトーンとのつながりが難しくもあります。こういう手法は好きで自分でも時々やりますが、難しいです(^^;)。映画のメジャー系作品だったら、この終わり方は受け入れられないかもしれないです。独立系ならでは、と言えるかもしれません。

「血なまぐさいシーンやきつい言葉遣い」があるため18歳以上向け、となっています。(マッケイ君はそこそこ脱いでますが、特にエロティックではありません)自分にとってはこんなリサーチをしなければ絶対見なかった一本なので、幸運な出会いでした。漁のシーンはないですが、そういうのはドキュメンタリーがたくさんありますので……むしろ陸地でのシーンや風景が貴重でした。内容的にはこの題材からの予想を覆す独創的なものだったので、賛否両論は予想されますが、日本でも字幕入りソフトが出てほしい。マッケイ君の人気が上がれば将来あるかも、と希望を持っておきます。

タイトルの『For Those in Peril』は、直訳すると「命の危険にさらされている者たちのために」。海軍やその他、海で亡くなった人のお葬式などで歌われる賛美歌の一節だそうで、他でもタイトル等に引用されているようです。作中では主人公の兄のお葬式のシーンでこの讃美歌が歌われます。英語版wikipediaによると、海軍出身のアメリカ大統領のお葬式などでも演奏されてきたそうで、歌のタイトルはいろんなバージョンがあるとのこと。歌詞は海難からの守護を神に願う内容です。映画のテーマはもろにそこではありませんが、自然を前にしてひたすら無力である人間、という立場を改めて認識させてくれる歌でした。科学技術の進歩で大きく変わってきていますが、漁師さんや海で働く人たちはそういう場所が仕事場なんだな、と、頭でなく心で感じることができました。

インディペンデント系作品で応援したい気持ちもあるので、予告編を貼らせていただきます。マッケイ君は熱演で、彼のファンの方は見て損はないのでは、と思います。マッケイ君て顔のタイプが誰かに似てるとつねづね思ってたんですが……あ、佐々木蔵之介さんだ!(…似てません?(笑))



2016/09/02

「ヴィスコンティと美しき男たち」: 『山猫』(1963)


久しぶりに映画の感想を。あちこち話が飛んだすえ、果てはバート・ランカスター萌え話というまとまりのなさですが、ご了承くださいマセ。

『山猫』(1963)

だいぶ時間が経ってしまいましたが、以前ここのブログにも書いたルキノ・ヴィスコンティ監督映画のリバイバル上映「ヴィスコンティと美しき男たち」、8月初旬に未見だった『山猫』を見てきました。(『ルートヴィヒ』と共に全国巡回してるらしいので、公式リンクをあとに貼りますね♪)

イタリア貴族の没落していく状況を描いた作品で、ポスター等で「アラン・ドロンが片目を黒い眼帯(?)で粋に隠したキメポーズ」をよく目にしていたのですが、『ルートヴィヒ』と比べるとマイナーなのかレンタルでも見かけず、なんとなく縁がないままだった一本です。ようやく見られました!

フタをあけてみるとドロンがあの姿で出ているのはほんの少しでしたが、それにしても生き生きとした青年貴族でした! 激動の時代にせっそーなく立場を変え(笑)、見事に世渡りしていきます。見る前は「ドロンが貴族?」といぶかしんでいましたが、なるほどこういう役なら似合うなー、と思いました。

そして主演はバート・ランカスター。身分は公爵で、アラン・ドロンはその甥です。…ちなみにドロンの役名はタンクレディ言ったら負けですがやっぱ日本の語感ではヘンな名前。文字で見ると特に。(それを言ったら「ドロン」だって充分ヘンだ。慣れとは恐ろしい(笑)。そういえば昔『タンクガール』って映画が……って横道自粛!(^^;))

とにかく、見に行った動機はゆるくアラン・ドロンだったのですが、すっかりランカスターにもってかれました! 没落しつつも時代の流れをなんとか乗りきっていく初老のイタリア貴族、という役です。時代背景は19世紀後半。1860年にシチリア王国を滅ぼした反乱からイタリア統一に向かっていく、まさに激動の時代……ですね。(詳しくないのでおーざっぱですいません)個人的には根っから庶民なので(笑)貴族に感情移入はしにくいんですが、もっと一般化して「時代が移り、自分がなじんでいた文化が過去のものになってしまった」という思いを抱くことは、誰にでもあると思います。もちろん自分もあります。公爵はそういう意味で、広く共感を呼ぶと思います。そして現実的な「長」であること――家長でも社長でも何でもいいんですが――その厳しさ・悲哀をひしひしと感じました。

過渡期の旧世代ということで言えば、消えていく様を描くパターンもありますよね。その時代には異質な過去の遺物となって消えて(消されて)いくような。ちょうどこれを見たすぐあとに、そういう例の『パットン大戦車軍団』をちらっと再見したので好対照だと思ったのですが……パットン将軍は生まれや世代というより個性が強烈なのですが、自分の価値観に堂々と固執する姿は、『山猫』の公爵とはまさに対照的という気がします。

でも、現実には「そこから続く」苦しみがけっこう長い。時代遅れになった老将軍は華々しく散ったりはしないもの。老兵は死なず、消えゆくまでの時間がまた別の試練です。(前述のパットンの例で言うと、同じジョージ・C・スコット主演で晩年のパットンを描いた『パットン将軍最後の日々』というテレビ映画があります。『…大戦車軍団』に較べると地味ですが、パットンの「消えるまでの時期」を描いていて、史実を知らなかったので衝撃でした)

『山猫』の公爵の場合は、少なくとも表向きは世をすねもせず、変化をすべて受け入れ、うまく一族を存続させ、甥の変わり身の早さも現実的な取柄として評価・支援し、自分のやるべきことを粛々とこなします。おかげで醜態をさらすことなく、破滅することも免れている「成功者」なのですが、芯にあるものは変えようがなく……内面で格闘しているのですよね。「一抹の寂しさ」なんて言葉では足りない、内面的な慟哭を抱えていることが終盤描かれます。いろんな立場でその身に共感できるのではと思います……「わかってしまっている」やりきれなさ。

バート・ランカスターはこの映画の頃まだ50歳位で、まったく老いてはいないのですが、老けづくりで演じていました。とはいえ、もともと肉体派のランカスター、見事な裸体をさらす入浴シーンもありました。正直目の保養です。(笑)でもここに象徴されるように、むしろ「枯れきってない」ゆえの煩悶がテーマかもと思えます。…ともあれヴィスコンティ監督、腐女子と利害一致でサービスのツボを心得てらっしゃいます。ありがたや。m(_ _)m

タイトルの意味も気になっていたのですが……もとのイタリア語タイトルは"Il Gattopardo"で、画像検索すると豹っぽい点々柄のネコ科動物が出てきます。英語タイトルは"The Leopard"で、こちらははっきりと豹。でも辞書を引くと、豹に似たネコ科の動物全般も表すそうです。どちらも日本語の「山猫」から自分が抱いたイメージとはちょっと違いました。

映画のなかでは(自分たちはかつて)山猫だった、獅子だった」というランカスターの台詞(心の声)がありました。イタリアの文化では豹・あるいは豹っぽい柄つきの大型野性ネコに気高いイメージがあるのかもしれません。見るまでは、アラン・ドロンのポスターのおかげで、彼に野性味のある猫っぽいイメージを重ねてる印象を持っていたんですが(笑)、獅子と並べているイメージなら、自分が「山猫」から連想したものより強くて大きくて孤高なイメージですね。「ヤマネコ」という言葉からは、もう少し小型でしなやかで狡猾な印象を受けますから、自分の脳内ではやはりバート・ランカスターよりアラン・ドロンのイメージに近いです。(日本公開時の戦略もあったのかな???)

…英語で「レパード(豹)」というと、「豹は体の模様を変えられない」(The leopard can't change its spots.)という言い回しがあります。(個人的には、たまたま『モーリス』で主人公の台詞として知ったもので、印象に残っています)そこから想像すると、「元々の性質は変えられない」という意味から、主人公の「表面上は時代に適応しながら内面に抱える葛藤」のイメージにつながる気がします。聖書由来だそうなので、たぶんイタリア語でも同じ言い回しが通用すると思うんですが……どうでしょう。(思い付きからの連想なのでぜんぜん違うかもしれませんが、こういうことアレコレ考えるのって楽しいんですよね!(笑))…いずれにせよ、動物のイメージは文化により違うので、特にキリスト教文化を根っこで共有していない日本では、一言でイメージを表現するのは難しそうですね。

…あ、そうそう! 忘れるところでしたが、ガリバルディ軍の将軍役でジュリアーノ・ジェンマもちらっと顔を見せてました! マカロニ・ウエスタンのイメージしかなかったのでびっくり! ヴィスコンティ映画に出ていたとわ☆ なんかジェームズ・フランコに似て見えたんですよ……軍服姿に「そっち系の色気」があって。なるほどなー、ヴィスコンティのお眼鏡にかなったか……なんて納得したりして(笑)。今ならそういう人気が出た方だったかもしれないなー、なんてヨコシマなことを思いました。(いや、いつもヨコシマだらけの鑑賞なのですが(^^;))

バート・ランカスター出演作では、同じヴィスコンティ監督の『家族の肖像』が好きなのですが、似たような立ち位置のキャラクターで、より「枯れた」教授役でした。『ルートヴィヒ』主演のヘルムート・バーガーに翻弄される役で、いろいろと萌えます❤

『山猫』のちょっと前に、たまたま『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』(主演ではありませんが、大企業の天文好きな社長役。ラブリーです♪)を見まして、いもづるでいろいろ見たくなったんですが、未見作品(のはず!)で探した『泳ぐひと』はレンタルがなく見られませんでした。残念です。うちにある出演作というと『大空港』『カサンドラ・クロス』といった、70年代頃のオールスターパニック映画くらいだと思いますが、「危機管理にあたるトップの立場」という意味では、『山猫』の役と共通項がないこともない……かもしれません。貫録があるので中年期はその路線多いのかもですね。『山猫』のドロンや『カサンドラ・クロス』ジョン・フィリップ・ローのような若い美男を従えた姿も絵になるので、これまた腐女子の琴線に響くのでありました♪(笑)

…比較的若い頃のランカスターには、なんとなくタフな肉体派のイメージを持っていたのですが、プロフィールを見てみたらもともとアクロバットをやっていたそうです。なるほど納得です。波打ち際のラブシーンが有名な『地上(ここ)より永遠に』、それに『ヴェラクルス』のガンマンも印象的でした……いずれも記憶が薄れているので再見してみたいです。意識して追いかけたことはありませんでしたが、出演作が多いので漁りだすと切りがなさそうな俳優さんですね。(笑)ちまちま攻略したいです。

余談ですが、昔「ザクト」っていうタバコのヤニ取り用歯みがき粉の広告で、白い歯を見せてニッと笑っている男性のイラストが使われてた記憶があるんですが……あれって『ヴェラクルス』のバート・ランカスターのイメージっぽくありませんでした? うろ覚えなんですが、今ググっても出てこないので気になってます!


…と、最後は散漫なランカスター萌え話になってしまいました。失礼しました!(^^;)


前述の通り、企画上映『ヴィスコンティと美しき男たち』『山猫』『ルートヴィヒ』全国巡回上映しているようです。今札幌と広島でやってるんですね。今後はわかりませんが、こちらで情報が見られます。


『ルートヴィヒ』は昔見たので今回は見送りましたが、初期公開版は(あれでも)短く編集されてたそうで、その後より長い「完全復元」バージョンができ、今回はそのデジタル修復版とのことです。そういえば、昔のはたしか表記が「ト」に濁点がつく「ルードヴィヒ」で、「神々の黄昏」ってサブタイトルがついてましたよね? 長いバージョンは「ルートヴィヒ」で、サブタイトルはつかないようです。いろいろ変遷があるんですね。(『山猫』は4Kという仕様の修復なのですが、これは劇場の設備によるので私が見た横浜では4Kではありませんでした。でも満足ですけど♪)

ともあれ、美しすぎた時代のヘルムート・バーガーが演じる狂王ルートヴィヒヨーロッパの貴族的耽美の世界がお好きな方には必見だと思います。

…たぶん、(自分を含めて)ある世代以上の耽美系アンテナを持ち合わせたお仲間には、『ベニスに死す』などと共に定番の一本だと思います。同性愛要素を美しく見せてくれる作品が少なかった頃、これらは当時の「腐女子(とういう言葉はなかったですが)的感性を持つ女の子の通過儀礼的作品」だった気もします。

これから涼しくなってくると、こういう映画をじっくり鑑賞するにも良い季節ですね。久しぶりの方も未見で気になる方も、ぜひチェックしてみてください♪(そしてこういう映画こそ、レンタル店には標準装備(?)していただきたいです! 見送った『ルートヴィヒ』をせめてレンタルで再見……と思ったらお店になくて、すごくショックだったので……)




*      *      *


(以下に海映画3本の感想も書いたのですが、長くなりすぎるので切り取りました。別にアップします。映画の感想はツイッターで一言つぶやいて気が済むことが多くなり、逆に言うと記録が残らないので忘れてしまったのがかなりあります。以前はすべてサイト日記を見れば分かったのですけど……記憶力がないので自分でも不便です。(^^;)記憶をたぐって少しずつ記録したいと思いますー☆)

2016/08/14

ただの日記+『クィア短編小説集』+"Arrival"(『あなたの人生の物語』)トレイラー

ただの日記

3日ほど夏風邪気味でしたが、なんとかそれも抜けました。バイトと資料読みに明け暮れております。世の中はお盆休み、そしてコミケ最終日。地元の商店街では個人商店がけっこう休んでいて、人通りはあるもののお正月に次ぐのんびりムード。こういう空気は好きです。(自分がコミケ参加のときはそんなものを味わう余裕はないのですが(笑))夕刻の散歩では川の上にものすごい数の蝙蝠が乱舞していて、しばし見物してまいりました。風も涼しくて柔らかく、ちょっと秋の始まりを感じたひとときでした。

あ、先日お知らせしたKindle Unlimited経由で、ちらほらと既刊をお読みいただいています。ありがとうございます!読み放題無料体験のうちにぜひどうぞ。(笑)既刊すべて読み放題対応になっていますが、やはりお読みいただいてるのは追憶のシャーロック・ホームズ宇宙探偵ホォムズが中心ですね。お気に召していただけたら他の作品もぜひお試しくださいませ。夏休みののんびり読書のお供にしていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


今日はバイトがないので、午前は秋・冬に向けた作品のひとり進捗状況会議(少し前から週イチで始めました)をして、そのまま新しいモチーフを入れた断片アイデアの書き溜めや資料探し・資料読みをしていました。かなり充実した時間でしたが、午前こうだとなぜか絶対午後同じ調子では進まないんですよね。カズオ・イシグロさんが書いてた「四時間で収穫逓減が始まる」ってやっぱりかなり当たってる。(笑)…そんなわけで、ブログに書きたかったことを散発的に書き出してみました。かなり溜まってるので今回では書ききれませんが、少しずつ消化していきたいです。

『クィア短編小説集』

まずは直近で、昨日ゲットした『クィア短編小説集』のこと。しばしばおすすめしている『ゲイ短編小説集』の監訳をなさった大橋洋一さんの監訳で、同じ平凡社ライブラリーのシリーズです。昨日存在を知って即、金欠を押してゲットしました!(笑)アマゾン見ると16日発売となっていますが、もう店頭に並んでました。



『ゲイ短2』を望む声もあったなか、今回はより幅の広い「クィア」の概念で作品が選ばれているようなのですが……目を引いたのはコナン・ドイル作品収録、とあったこと。何が入っているのか興味があったんですが、なんとホームズもので『三人ガリデブ』なんて直球な!(笑)それと『赤毛連盟』も入っています。ドイルせんせならホームズ以外のほうが萌えまくる作品あると思うのですが……マーケティング的選択でしょうか。でもゲイ短でも新訳だったと思われる『幸福な王子』にとても感動したので、今回の訳(ガリデブも赤毛も大橋洋一さん自身の訳)でなにか新しいニュアンスを感じるかどうか、楽しみです。

ゲイ短も「これのどこがゲイ小説?」という話を含めたラインナップで、でも腐女子から見ると見事にJUNEのツボを押さえたセレクトだったので、今回のほかの作品も期待しています。まだ冒頭に入っているメルヴィル作品『わしとわが煙突』に手をつけたばかりなのですが、やはり一筋縄ではいかないセレクトのよう……に思います。素直にこのままいくとしたら、坂田靖子先生のJUNE掲載マンガあたりを(つながりはほとんどありませんが)ゆるく連想しているのですが……まだどう転ぶ作品なのかわかりません。今は自分の作品の準備のためお楽しみ読書の時間をがっつりとれないので、合間に少しずつ読みながら、セレクトの切り口をアレコレ想像しつつゆっくり楽しみたいと思います。最初に巻末の解説を読んじゃうとある意味ネタバレ(?)なので今はガマン。(笑)

テッド・チャン原作"Arrival"トレイラー

母艦サイトのほうでアップしましたが、テッド・チャンさんの『あなたの人生の物語』の映画化作品"Arraival"、数日前に予告編が公開されました。こちらにも貼らせていただきます。


ちらほら出ている記事ではアカデミー賞狙いの11月公開とのことで、前評判も高いようです。SF作品でアカデミー賞狙いというのもすごいと思う。SF系では映像の新技術が売りになってそのあたりの賞を取ることも多いですが、原作を考えても、予告編を見てもそういう系統の作品にはならないと思いますし……。ああいう短編がちゃんと映画に「翻訳」されて評価されるとしたら、世の中捨てもんじゃございませんね♪(なんつて)

ちょっと前にネット公開されたチャンさん自身のインタビューでも映画について触れられていて、「典型的なハリウッド・ディザスターになることはなんとか避けられたように思う」と言ってらっしゃるのが嬉しいです。関連部分だけ拙訳で、元ページリンクと共にチャンさん情報コーナーに載せましたので、よかったらどうぞ。その他の部分もここ(日記ブログ)かどこかでまたご紹介したいです。とても良いインタビューなので。

テッド・チャン情報メモ
"Arrival"予告編 &インタビュー:映画化についてなど

ほかにここ数カ月で見た映画や本のお話など書きかけで溜まっておりますが、長くなりすぎるので(^^;)また改めて。


【2016/8/30追記】上述のインタビューからの創作論的な一部を、別サイトのブログでご紹介しました。

SUSSANRAP Kindle Books ブログ: 創作について(テッド・チャンさんインタビューから)

ここ(牛乃の日記(仮))との差別化で、創作関連の話題はなるべくあちらに、映画・二次等のミーハー話、個人的なアレコレはなるべくこちらに、と住み分けようと思っています。(^^;)よろしくお願いします。m(_ _)m

2016/08/04

キンドル・アンリミテッド始まり+ぷちクラッシュとセレンディピティ

Kindle Unlimited スタート

8/3から、アマゾンの月額980円読み放題が始まりました。現在30日間無料体験も行われています。うちの本はすべてそちらから読めますので、よかったらぜひ。kindle無料アプリでも登録できます。

Kindle Unlimited 読み放題

後述の理由でネットサーフィンを制限しているため、スタートを知ったのは当日の朝日新聞だったのですが、記事によると一度に保存できるのは10冊までとのこと。期限不定のレンタルみたいなものでしょうか。なのでずっと所有したい場合は普通の購入のほうが良いかもですが、大量に読みたい方で

「とりあえず中身読んでみないとずっと保存したいかどうかわからない」
「でも判断するのにサンプルでは分量が不足」

…という場合に、ザクザクとチェックを兼ねて読んでいくのにも良いかと思います。夏休みにたっぷり読もうと思っている方は、とりあえず無料体験してみるのも良いのではないでしょうか。(それほど使わないなーと思ったら、期限が来たら解除すれば料金とられませんし……(笑))

出版社等からは反発も出ているサービスで、たしかに立場により見方が違うのはとてもよくわかります。でも無名で本を作っている身からすると、気軽に試していただける機会が広がるのはありがたいことです。読む方から見れば、うちの本など海のものとも山のものともわからないわけですから。(笑)

配信側の立場では、本ごとにKDPセレクトという、電子版のアマゾン独占配信条件に登録することで、キンドル・アンリミテッドやキンドル・オーナーズ・ライブラリーで読める対象になり、そちらで読んでいただいた分の報酬も、(販売価格よりは低いものの)読まれた分量に応じた支払いがあります。つまりこのサービスの対象に登録する・しないは出版側が選べるので、シリーズの一巻だけ登録してみるとか、いろんな使い道があるのではと思います。

海外ストアでは以前からあって、うちの場合はしばしばそこから読んでいただいていたので、早く日本でも始まってくれないかなーと思っていました。ここからまた新たなご縁ができるといいなあ、と思っています。

ぷちクラッシュとセレンディピティ

さて、コミケに落ちたおかげで(笑)できた時間を有効に使おうと、現在ゆるい「クラッシュ」に入っております。(クラッシュについてはこちらの過去記事にて。カズオ・イシグロさんの用語を拝借した一種の「自主的缶詰状態」で、作品世界にどっぷり浸ることです)自分の場合はいっさいを代わってくれる奥さんなどいないので(笑)、創作の優先順位を上げてネットを覗く時間を減らす、情報を遮断して「真空」っぽくなれる時間を数時間~一日単位で確保する、という程度なのですが。もちろん「ココロのごはん」は適宜補給しております。(こういうときこそ必要、ということもありますね。ちょうど先日、ツイッターで藤原帰一さんがそんなことをつぶやいておられました。これから忙しいそうで、「映画なしには乗り切れません」と。大いに共感です(笑))

春から外でのバイトもしているので、一日丸ごと自分でスケジュールを組める日は減ってしまったのですが、かえってメリハリがついてる気がします。こういう時期は映画のほかにエンジンかけに役立つ本も大切なのですが、先日テッド・チャンさんがインタビューで言及していた、アニー・ディラードの『本を書く』という本が今すごく役に立っています。作業に入る前に数ページ読むとなんとなく落ち着いて、自然にものを書くモードに入れます。図書館で借りたのですけど、これは手元にほしいかも。

今回のぷちクラッシュは秋のJ庭合わせのイアンシリーズ新刊のためで、以前からそれに関連しそうな資料を集めたり読んだりしてきたわけですが……草稿を書き始めると方向が変わってきまして。集めた資料の半分くらいは今回はかすらないことになりそうです。(泣)でもようやく曖昧だった部分がわかってきたことにもなるので、新たに深掘りするためにいろいろ追加摂取しています。

こういうときはなんとなくの勘で出会ったものがよかったりするんですが、今回もそんなのが出てきました!掘り出したのは、昔父親が珍しく持っていた『銀塊の海』という小説の著者、ハモンド・イネス。(父は新聞以外はほぼ読まない人なので、子供心に印象的だったようです。自分は未読なので、今回元の文庫とは別でkindle化されていたもののサンプルを落としてみました。…面白そう!(笑))

ネットリサーチのなかで偶然名前を目にしたのですが、なんとなく著作リストを見てみたら、今の状態でピンとくる「北海などイギリス周辺を舞台にした海洋冒険小説」を書いておられました。(帆船時代とかだとさすがに古すぎるのですが、油田ブームの頃ならぎりぎり範囲なのです)過去の経験ではこういうセレンディピティで出会ったものは当てになるので、金欠中ですが(^^;)安い古書を注文しました。自分が書くのは「ゆるいマイルドBL」なので(笑)影響は限られると思いますが、ココロを北海に飛ばすのを助けてもらえればと思います。正直今この作業をしているようではJ庭はきついですが、ズレてもその次の目標がコミケになるだけなので、気を緩めず進めようと思います。

先日は神保町に行き、久しぶりに「ほんとの古本」の匂いをたっぷり吸って、同行してくださった方のおかげで掘り出し物もさせていただいたり(以前SHERLOCKの同人誌でご縁ができたミステリ作家の篠田真由美さん。お店もいろいろ教えていただきました)、やはりセレンディピティで目についた本を買ったりで、生き返った一日を過ごしました。(今思うと、その前にイネスの本に気づいていたらいろいろ漁れたのに……とも思います。これはキリがないですが(^^;))夏は苦手でここ数年は酷暑もあり、外出を控えていましたが、たまにはこういう句読点は必要だなあ……とつくづく思ったしだいです。まあ、涼しい秋がいろいろと「●●の秋」に理想的なのは変わりませんが。
ともあれ、暑い間も水分とともに、適度なココロのごはん摂取に気をつけたいと思います。摂りすぎても支障が出ますが、不足すると確実に干からびますから……。(笑)

2016/07/12

シノプシス進行どっこいしょ+『謎の円盤UFO』+ハヤカワ文庫の海外SF復刊総選挙

今日が次のイアンものの長編の第一稿締め切り…の予定でした。実際の進行はまだシノプシス。(^^;)ですが、いちおう区切りとしてここ数日追い込み、さっき現時点でのアイデアをまとめてプリントしてみました。ふー。

前回の短編の最後でちらりと書き添えました通り、ストーリーのオモテのラインは「イアンが北海に沈んだUFOとやらの取材に行かされる話」の予定なので(ウラはまた別の心理的物語が進行します)、そういう方面も調べたり読んだりしてました。……偶然ですが、スコットランドって90年代以降この手の目撃のメッカになってるそうですね。まだモデル地は迷ってる段階ですが、イメージソースにことかかない状況です。それでいて勝手に想定していた事件ともろにかぶる例には出くわしてないので、風呂敷広げやすそうです。(笑)

60年代頃からのこの手の目撃例の歴史もちらちら見てるんですが、『謎の円盤UFO』ってほんとに制作当時(1970年頃)「ホット」だったUFO目撃事件をベースにイメージしたんだなー…と妙な方向で感慨にふけりました。なんか「UFO」が回転してるところとか、海から出てくるとか。(そいえばSHADOは潜水艦も持ってましたもんね)

いちおう自分との約束を形だけは果たしたご褒美として、久しぶりに見たくなったので『UFO』のDVD掘り出そうかと思います。(「ユーフォ―」じゃなくて「ユー・エフ・オー」(笑))

Youtubeに日本版オープニング(矢島正明さんのナレーションつき❤)があったので貼らせていただきます。このナレーションもたまらんですね…。


ついでに母艦サイトからの使い回しですが、以前広川太一郎さん追悼(+こどもの日)用に書いた司令官以下のイラストを貼ります。
こいのぼりに見立てたアレのポールのてっぺんについてるのが「UFO」。これが回転しながら飛んでたんですよね~。(笑)

じつは、『UFO』が懐かしくなったのはもう一つ理由がありまして。先日ツイッターでハヤカワ文庫の「海外SFデジタル化総選挙」の情報が回ってきました。現在絶版になっている作品の電子版での復刊リクエストらしいのですが、何がすごいって、懐かしい表紙がだーっと見られるのですよ♪(逆に「これ今絶版なの!?」とちょっとショックなものもありました☆)


決してSF読みではない(それを言えば決して小説読みでもない(^^;))自分ですが、これはさすがに見ていてたまりません!で、このなかに『謎の円盤UFO』のノベライズも入ってるのです!私、これの二巻だけ古書でゲットしたのですが、一巻を持ってなくてデジタルでも復刊してほしいので、一票入れてきました。複数への投票は可、ただし一冊に対して一度だけ、とのことなので、とりあえず他に『人間以上』『オッド・ジョン』に入れてきました。(読んだものほんとに少ないんですが、これは好きだった作品です。もう「好きだった」こと以外はぼやけていますが…(^^;))

眺めるだけでも楽しいページですが、8/31まで投票受け付けてるそうなので一票いかがでしょうか。やっぱり夏はSF、ですし。(←なんかそんなイメージになってる)
昔読んだのだけでなく、表紙を見て「読んでみたい!」という作品にジャケ投票もありじゃないかと思います。別に思い出投票というわけじゃないですし。有名な作品も多いですし、個人的な感覚では「ちょっと前の古書市のワゴンの品ぞろえ」をホーフツとさせてくれるのもたまらないんですよね……また逃避がてら(?)眺めに行こうと思います。ていうか、表紙ギャラリーはもう永久保存版にしてほしいです!

うちの『謎の円盤UFO』第二巻を即席激写。番組のキャラとはちとイメージ違いますが、豪華口絵つき・本文もイラストつきです。今のような漫画風でない、リアルなタッチがまた素敵♪


2016/07/02

さまざまな記念日+アンリミテッドは8月に?

イギリスEU離脱決定からめまぐるしい一週間が過ぎました。マーク・ゲイティス兄も政治ネタツイートをわりとする方ですが、先日はこんなツイートが。たしかに毎日速報レベルのニュース多すぎ!(笑)


今週は記念日的にもいろいろありました。前回のブログはE.H.カーせんせのお誕生日ネタでしたが、6/28はカーせんせの誕生日なだけでなく、なんと二次大戦後のベルサイユ条約の調印日だったそうで。あとから知ったんですが、「ええーっなんてドラマチックな!」と不謹慎にびっくりしてしまいました!

この前も書きましたが、カーはこのときまだ二十代で、パリ講和会議に随行していて、ドイツに対する報復的な処遇には批判的だったんです。そこで決まったベルサイユ条約が彼のお誕生日に調印……映画ならいいシーンになりそうだ……!

どなたか撮ってくれませんかね。E.H.カーの伝記映画。企画としては私に大好評なんですが。(笑)

wikikpedia ヴェルサイユ条約

…そして昨日、7/1は第一次世界大戦の激戦、ソンムの戦いから100周年でした。ネットでもテレビでも、式典やソンムの戦いを解説する映像などいろいろ流れておりましたね。戦死者の象徴である赤いポピーが、やはり印象的でした。

BBC Japan: 第1世界大戦ソンムの戦いから100年 近代戦争の分水嶺

近代史、特にヨーロッパのことなんぞはまったく門外漢なのですが、小説でたまたま主人公がこのへんに詳しいという設定にしてしまったため、付け焼刃でこのへんの話題に多く接するようになりました。じつは今いろいろ動いているスコットランドも、次回作の準備で調べてたところなんです。(話の舞台を北海沿岸の漁業の町にしたいので……)国民投票前の報道記事で、漁師さんたちは圧倒的に離脱派なのだと知りました。EUの漁獲量制限や、海に廃棄できないルールなど、不満がたまっているそうで。でもスコットランド全体では残留派多数という結果だったので、複雑だなーと思っていたのもつかのま、それどころか独立うんぬんという話になってますね。外野なのにへんな心配をしております。あんまり深入りするとなんの話かわからなくなりそうなので気をつけないと。(^^;)

さて、私事ですが、一昨日6/30は自分も誕生日でした。(毎度書いてる気もしますが、ルパート・グレイヴスもこの日。おめでとうございました♪)このところ慌ただしくて、グーグル検索でおめでとう画面が出て気づいたという情けなさでした。いや、前日までは覚えてたんですけど!(^^;)もはや年をとること自体は嬉しくないですが、産んでくれた母親には感謝するべき日だなーと思います。いまだに世話になりっぱなし。いつまでも元気でいてほしいです。

都合で一日遅れでしたが、昨日念願のショートケーキをありがたくいただきました。前にコナン・ドイルせんせのお誕生日のときは、ショートケーキは近所で手に入らず代用で涙をのんだのでした…。やっぱりイチゴ+生クリームって見た目にコトホギ感があっていいなーと思います。(今はサバランのほうが希少性のために脳内ランキング一位ですが…(笑))


ついでなのでドイルせんせのときの写真を。kindleサイトからの使いまわしですが(^^;)。某カフェのフルーツロールケーキで手を打ったんですが、もう夕方だったせいかパサパサで…。まあセルフサービスのチェーンで生っぽいケーキに期待するのは無理ですね。


(あ゛、店名入っとる。すいません。(^^;))でも好きなお店で。最近近所にできて、フリーWi-Fiと電源完備というありがたい所なのです!ドトールさんより少し高いけど、週に2、3回はここで仕事させていただいてます。Push to kindleにためた記事がWi-Fiでおろさないと面倒な形になっちゃったので、記事おろしと資料読み、書き物などなど、絵以外はなんでもやってます(^^;)。ノートパソコン持ち込んでねばってる人とか、がっつり勉強している学生さんとか多いので気も楽で。

現在は外耳炎対策で耳栓を避けてるので、以前買った「集中力が増す」という触れ込みの雨音CDをヘッドホンで聞いて耳栓代わりにしてます。でもこの店のBGMはわりと大人っぽいというか、洋楽の懐メロが多くてなごみます♪詳しくはないほうなのに耳になじんでる。あの頃のヒット曲ってそうでしたね。ラジオでなんとなく聞いてたり。

今週は春から始めた外のバイトが四日連続で入らなかったので、一日くらい完全に羽を伸ばそうと思ってたのですが、なんのかんので毎日仕事周りのアレコレをしてました。でも昨日夕方に上記のお店に行って、ノルマでない読みかけの本を四冊ほど持ち込み、二時間ほどかけて全部少しずつ読んで、自分にご褒美としました。なんとなく生き返った気がするので、マメにこういう時間作りたいなーと思います。

そうそう、kindleですが、定額読み放題のkindleアンリミテッドが八月に始まるらしい、という記事が先日朝日新聞に載っていました。ネットではちらちら噂はあったのですが、天下の朝日ですからそういいかげんな情報ではないと思います(笑)。海外ストアではこれで読んで下さる方がけっこう多いのです。もちろん、これでお読みいただいた分も(販売時よりは低くなりますが)Amazonから報酬も受け取ることができますし、無名の書き手には作品を知っていただく機会が増えるので、とても待ち遠しいです。

2016/06/28

祝・E.H. カーせんせお誕生日❤+『危機の二十年』(とイギリスEU離脱)

何度かここでもご紹介している、今や萌え対象(断言)のイギリスの歴史家・国際政治学者(で元外交官)のエドワード・ハレット・カーせんせ。今日がお誕生日なんだそうです。1892年生まれで1982年に亡くなっているので、生誕124年祝い、としたほうが良いでしょうか。こーいうノリで扱う方ではない気もしますが(^^;)、勝手に盛り上がることにします。おめでとうございますー!

今までものすごくバイアスのかかったご紹介をしている気がするので、wikiにリンク張ります。客観的にははこういう方です。一番読まれている著書は岩波新書になっている『歴史とは何か』。「歴史とは現在と過去との果てしない対話である」というフレーズで知られている…そうです。(自分も拙訳(少し意訳)で小説のエピグラフに引用しましたが、これは有名だと知っていたからではなく、普通に読んで惹かれたフレーズだったから。あとでこのフレーズで知られてるんだと知りました。やはり誰の目にもキャッチ―なんですね…❤)

Wikipedia: E・H・カー

で、せんせの著書の一つでちまちまと読んでいた『危機の二十年――理想と現実』 (岩波文庫、原彬久 /翻訳)をお誕生日に合わせて読了して感想を書きたい、と思っていまして……さきほどギリギリで読了いたしました!(何カ月かかってるんだ私!(^^;))付箋はキリがないので途中から控えるようになりましたが、中身傍線だらけです!ここまで多いとぶっちゃけ線引いてる意味ないです!もー引用したくなるよーな文章多すぎですカーせんせ!ちっとは遠慮して下さいっ!(笑)

読了記念写真。ピカードかんちょを立たせたのは、自分が「外交・国際政治」的なものに初めて萌えを感じたのがTNGで、
カーせんせの著作に感じる興奮も自分にとってはその延長だから。…というのが言い訳です。(笑)



この本のタイトルが指すのは、1919年から1939年の二十年間(第一次と第二次の大戦の間の時期)。「リアリズム(現実主義)」「ユートピアニズム(理想主義)」という概念を使いながら、国際連盟の失敗を中心とした国際関係のあれこれを俎上に乗せています。分析に際して非常に緻密であり、辛辣な「リアリスト」の面と、展望に際して時々「ユートピアン」な面とが混ざり合っています。どちらかの視点を支持して推し進める、というのではないです。だからこそリアルだ、と感じられます。そもそもが結論など出ないトピックだとも思えます。

一方で、この方の文章って、前にも書きましたがものすごく要約しにくいんです。まとめても意味がないというか、省略できる部分がない。だからご紹介するとしたら、引用をして、「あとは原著を読んで下さい」としか言いようがない。(^^;) 『危機の二十年』はアーノルド・J・トインビー教授には解決策が書かれてないとつっこまれたそうなんですが、解決策という「結論」を書くための本ではなく、問題の構造の読み解きと切り口がメインディッシュ、という感じなんですよね。

ここでカー自身がどういう背景を持つかが大きいと思うのですが……彼は一次大戦終結後…ピッチピチの二十代…に、戦後処理が決められたパリ講和会議にイギリス派遣団の一員として随行していて、そこで外交の現場を見て「失望」しています。そこで決められた条約はドイツに対して報復的であり、国際連盟もその後あまりに「ユートピア的」な理念で失敗している。そのへんの若き日の(ばかりではない)幻滅が、この方の根底にあるように感じられます。(でも、そういう「今風のまとめ」はこの方には禁物です。というか、現実は「まとめ」られるようなものではない、ということをこの方はそのまま垂れ流した芸風(?)で、そこが読みにくくも信頼できるところなのです)

今では「ヒトラー」を単体で悪魔のごとく考えるのは「常識」になっていますが、二次大戦が起こる前はそこまで想像できなかったわけですよね。カーは当時のドイツに対してはむしろ宥和的で(のちにヒトラーの本質を見抜けなかったと認めていますが)、ドイツは一次大戦後に報復的な条件を飲まされた国だ、という考えがありました。これは当時珍しい見方ではなかったようです。この流れで見ると、ヒトラーの台頭はドイツへの無茶で報復的な戦後要求への反動、という認識からドイツ宥和策に賛同するのは理解できます。(たしか経済学者のジェフリー・サックスも、「ハイパーインフレがヒトラーの台頭を生んだことを忘れてはいけない」と書いていたと思います。だからやったことを免罪できるとかいう話ではなく、そういう要因が含まれていたと認識することが、歴史から未来への教訓になるんだと思います)

カーは外交官時代に関わったロシアへの興味からソビエトロシアの研究第一人者になり、共産主義者だと偏見を持たれつつも、実際はそうではないようで……ああ、ほんとに書いたものと同様、単純に「これ」と言いにくい人で、すごく緻密な描写をしなくちゃいけない人です。でも、人間て実はみんなそうじゃないでしょうか。

…カーの本は、要約しにくいだけでなく、先ほども書きましたが、正直読みにくいです。この本のAmazonレビューでは新訳は読みやすいと書かれてますが、論の進め方が自分の目には読みにくい。しっかり集中しないと、意味がスッと頭に入ってこないです。(私だけでしょうか。最近またワーキングメモリが弱っているし(^^;))ある意味「当たり前」とも思えることを、誤解されないように緻密に表現すると、こういう風になる……という感じです。変な例ですが、ネットの記事の書き方として推奨されるような「わかりやすさ」の対極にある気がします。でも、だからこそリアルなんです。

ネットで「わかりやすく」「まとめ」られてるようなものは、あえて意図的に編集して簡略化・極論化されたものが多いと感じます。端的に言えば、ネットの記事はヘッドラインで人目を引いて読んでもらい、多くの場合は広告を見てもらうことが目的。タダに見えるネットは、実は端から端まで商業主義の「釣り」の権化です。だから必然的にパっと見てわかることがもてはやされやすく、浅薄になりがちです。こういうものに慣れてしまうと、こういうものしか理解できない・あるいは自発的に「食いついて」理解するのが面倒になります。思考の筋肉が脆弱になるというか、操られやすくなる気がする。そういう流れはすでに出ているように思うので、日々ネットに触れていることに自分でも怖さを感じています。

ちょっと話がそれてしまいましたね。(^^;) それはそうと、イギリスがEU脱退を決めたこの時期この本を読むことは、ものすごく刺激的でした。この本が書かれた頃、EUのようなものはまだ夢物語でした。進歩はあったわけで、そのうえでの今回の状況をカーはどんなふうに分析するだろう……聞いてみたくてたまりません。

予言的とも、今の状況を見ると皮肉とも受け取れる箇所を、いくつかご紹介して締めとします。「えっ、そんな意見?」と思って読んでいると、あとで皮肉な形で扱うための前振りだったりするので、油断がなりません(笑)。(改行は読みやすさのために加えたものです)

さらに、「外国人」に関するイギリス人の心象がどれほど鮮明であるかは、一般には地理的、人種的にどれだけ自分たちと近似しているかによって変わるだろう。(…中略…)

ヨーロッパに駐在しているアメリカの新聞通信員は、事故があったときは、この事故による死者がアメリカ人なら一名、イギリス人なら五名、他のヨーロッパ人なら一〇名になった場合、それぞれ報道に値するという規則をつくったといわれている。

われわれはすべて、意識的ないし無意識的に何かこうした相対的価値基準を用いるのである。

(第3部 政治、権力、そして道義 第9章 国際政治における道義 p.313)


面倒なのは、グアテマラの権利・特権が、アメリカの権利・特権とただ相対的に――絶対的にではなく――平等であるということではなくて、グアテマラがもつ権利・特権がアメリカの善意によって初めて確保されるということである。
(同章 p.315)


自国民の利益と両立できるほどの規模で難民を引き受けるのはその国の義務ではあるが、しかし無数の外国難民に国境を開放することによって自国民の生活水準が下がるとなれば、それは一般に受け入れられる道義的責任とは言えない。(…中略…)

すなわち、国家はそのより重要な利益と深刻な矛盾をきたさない限り、この愛他的美徳を実践するべきだということである。(…中略…)

その結果、安全で豊かな国は、みずからの安全や借金支払いの問題に汲々としている国家群に比べれば、愛他的に行動する余裕があるというわけである。

こうした側面は、アメリカ人やイギリス人が通常もっている考え、すなわち自分たちの国の政策が他国の政策よりも道義において一層進歩的であるという考えの根拠となっているのである。

(同章 p.303-304)


国際的融和を求める人たちは、社会的階級間の和解プロセスをこれまである程度成功に導いてきた諸条件をみずから研究していけば、うまくいくかもしれない。

すなわち、対立の現実を素直に認めて、しかもこれを邪悪な先導者の幻想として片付けてはならない、ということである。

つまり、わずかな善意と常識があれば、それ自体を十分維持できるのだとする利益自然調和〔※支配的な者の利益=全体の利益というもっともらしい理屈〕の安易な仮説は、これを忘れ去ること、

そして道義的に望ましいものと経済的に有利なものとを同一視してはならないということ、

さらには不平等を緩和して紛争を解決するため、必要なら、経済的利益は犠牲にされなければならない、ということなのである。
(結論 第14章 新しい国際秩序への展望 p.447)


これまでの章でのべたように、犠牲を払うという動機に直接訴えればつねに失敗する、と決まっているわけではないのである。

これもまた、ある種のユートピアである。

しかしそれは、世界連邦のヴィジョンや、より完璧な国際連盟の青写真に比べて、より直接的に新しい進歩の方向を指し示している。

これら格調高い上部構造は、その基盤を探り出すのに何らかの前進があるまでは、その実現を待たなければならないのである。
(同章 p.452)



巻末の訳者解説によると、『危機の二十年』は1939年秋の第二次世界大戦勃発とほぼ同時に刊行されたとのこと。その時点でのカーせんせの思索の果実であり、もちろんその後亡くなるまで進化していくわけです。続編ともいえるらしい『平和の条件』を読んでみたいのですが絶版で、古書もマーケットプレイス等では今のところ見つけていません。市内の図書館サイトを見てみたところ、貸出中のうえにすでに予約者二人。三番目に並ぶことにして予約しました。(^^;)やはり今注目される人なのかもしれません。