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2016/09/16

漫勉感想メモ(池上遼一先生)+近況(J庭予定など)

漫勉感想メモ


昨夜録画した、池上遼一先生の『漫勉』を朝から視聴。いろいろ目からウロコなのでメモを。漫画絵を描く個人としてのメモなので(かつ池上漫画ファン、という立場ではないので(^^;))、あらかじめご了承下さい。


・定規でアタリ

キャラの顔の中心線を、なんと定規で引いていた。あの顔のパターン化された感じはそこから来るのか、とも思ったけれど、こうすると絵が安定するとおっしゃっていたから、意識しての、良い意味での「ワンパターン」なのだった。
自分は「フリーハンドでまっすぐな線が引けない」とか「水平や垂直がフリーハンドでうまくとれない」と自分の未熟を責めてストレスになることがある。バカみたいだったなー、と思った。あっさり定規を使えばよかったんだ。(そりゃそうだ)


・パソコンで顔を左右反転

右利きで右向きの顔がうまく描けないのはほぼ誰でも感じることだと思う。そして「それは未熟なためで、できてこそプロ」みたいなド根性要素だと思いこんでた。それがあっさりパソコンで左右反転。ベテランが。しかも画力が売りの漫画家さんが。目からウロコ。それもうまく描けないからじゃなくて、「左向きの絵に自信があるから」。この発想の転換は大事だと思った。どうも自分はウイークポイントをさらけ出さないとズルしているみたいで心地悪い、という感覚があるようで、絵に限らずあえて苦手なもの、知らないものを優先してアピールする傾向があるようだと気づいた。そうでなくて得意なもの、自分が比較的うまくできること、比較的詳しいことを優先して人様に供するというのは、考えてみれば一番のサービスなのであった。自分のなかで最上のものを出すのだから。

・色気の探求(「萌え」に逃げるな!)

男性の肉体が好き、と筋肉の色気を語る言葉はまさに萌えだ。この言葉はあえて照れ隠しに使うことも自分はあるけれど、萌えという言葉では取りこぼすものがあるのも当然ながら事実だ。端的に言えば、作る立場にいるときに言う萌えとは美と色気の追求なのだ。別に遠慮することないのだ。美男美女を描きたい、憧れを描くとはっきりおっしゃる、なんという潔さ。

・原作もの

原作ものはある意味(同人誌で言う)二次創作と同じ強味を持つんだな、と思った。幹はできてるから、その分細部にこだわる余裕ができる。というか、そこがしどころになる。原作つきマンガの場合は絵に力を注ぐことになる。分業のメリットは、少なくとも商業で量産する場合には時間との勝負なのだから、あると思う。でも自分にとって大きかったのは、原作うんぬんに関係なく「細部に力を注いでもいい」という、へんな解放感なのであった。

・斜線(?)

しゃっしゃっと線を重ねて陰影を出すペン画の手法。これはむしろ楽だと思う。もしかして、これも「自分の苦手なことを優先した」ための感覚なのだろうか。グラデーションがあるはずの影をトーンの境目できっかり、と「翻訳」する作業のほうが自分には難しい。へんな言い方だけど「これでよかったのか」、とこれも目からウロコ。自分に合ったやり方を探して実践していくのがなにより大切なんだな、と。自分はこれまでそこで遠慮しすぎ、別の言葉で言えば怠惰すぎた。ルールは別の誰かが作るもので、それに従わなくてはと思っていた。この年で今さらとは言わずに(^^;)、「自分に都合のいい手法」の探求をしなくては、と思った。



…じつは池上遼一さんのマンガはきちんと読んだことがないです。絵柄や題材も好きかというとちょっと違う。だから読んでいないのだし、ああいう絵柄で描きたいというわけでもない。でもすごく根幹のところで得るものが多かった漫勉でした。いつもながら、この番組見ると絵が描きたくなりますね。…余談ですが、この番組で「ガルパン」の意味を初めて知りました。いやー、ツイッターでよく見かけるのでなんのことかと思ってました。すっきりしたー☆(笑)

漫勉公式サイト内 池上遼一 (動画や対談の未公開部分も見られます)


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近況

春から外のバイトを始めまして、慣れるまで他のお仕事は控えていたのですが、久しぶりに翻訳のお仕事を受注させていただき、バイトと両方でだいぶ時間を割いています。J庭は新作ムリ確定です。でも最近接した耽美なものについての長めのペーパーと、過去の無料配布短編小説の再頒布…くらいは持って行きたいです。もちろん既刊も。漫勉で絵を描きたくなったので、なにか新しい絵で帰っちゃうの?ポスターも作りたいです。今回お題が学生服なので、ちょっとそちらには添えないかもですが。(笑)

イアン・ワージングものの新作長編は冬コミ合わせに変更して資料吸収を続けていましたが、ようやく話の方向今回の題材の世界観がぼんやり身についてきた感じです。これまではちょっと、「頭で考えたこと・調べたこと」を彼に押し付けている感じで、ゴツゴツしてて自然な動きが出てきてなかったんですよね。遅れているのは、クラッシュ(自主的缶詰)状態を思うように確保できてないのが大きな原因だと思います。今の時点でやっとこの状態、では冬コミも危ないかなあ……とも思いますが、見えない波に乗れてきたのは確かなので、焦らず行こうと思います。せっかくスケジュールを作品に合わせられる環境なのですし、冬コミとれるかどうかもまだわからないですし……。今回はちょっとしっとりした話になりそうな気配です。(でも想定外の動きが出たら生かしたいので、イアンをなるべく自由にさせるため予告は控えます~(笑))

kindle版電子書籍は、日本ストアの読み放題が始まってから、ホームズ系以外もお読みいただけています。ありがとうございます。普通のご購入もほとんど減っていない(もともと少ないので差が目立たない?(笑))です。読み放題で読まれたページ数に応じて報酬はあるのですが、もちろん普通の販売よりずっと低いので、もともとたくさん売れていた本だと実質の売上が減って読み放題から撤退、というケースが出ているようです。でもうちは今のところメリットばかり。読んでくださる方の幅が広がる機会になっていると感じます。ありがたいことです。(お気に召していただけた方、よかったらぜひ他の作品も覗いてやってくださいませ。m(_ _)m)

やはり日本語小説はほとんど日本ストアでお読みいただいてるのですが、先日珍しくイギリスのストアで、イアンの一作目の分冊版をお読みいただきました。イギリスが舞台のお話なので冷や汗ものですが、楽しんでいただけていればと思います。

…じつはブログ用の下書き記事が山ほどあるのですが、推敲途中で期を逸してもはやアップできないものもあります。(萩尾望都先生の展覧会の感想とか今さらですし(^^;))今日もほんとはテッド・チャンさんの先日のインタビューから、ココ数年自分も悩まされている問題に言及していたのでそのご紹介と、それにからめたアレコレを書いて推敲していたのですが、漫勉見たばかりで勢いがあるので先にアップしました。ストック記事も少しずつ仕上げて上げていきたいです~。(映画感想は書けないまま見た作品数だけ増えています~(笑))