2017/01/31

追悼ジョン・ハート

先日、俳優のジョン・ハートが亡くなりました。闘病なさっていたとは知らなかったのでとてもショックで、正直まだそこから抜けられませんが、知った当日にポメラでとりとめなく書いた文章に少し加筆してアップします。

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2017/01/28 15:42
恐れていたことが起きてしまった。ジョン・ハートが亡くなった。Twitterを始めてから、好きな俳優さんやいろんな方々をフォローさせていただいて、雲の上の方々にも不思議な近さを感じるようになったけれど、もし急に亡くなったら一番ショックを受けるだろう、と思っていたのがこの方でした。ご本人のツイートも(少ないものの)当たり前のように見られていたし、つい先日はお誕生日のツイートを自分でもしました。そしてその時に、イアン・マッケランよりもマーク・ゲイティスよりも、この方が突然いなくなったらショックだろうなあ……となんとなく思ったのでした。

さっきTwitterで訃報を知って、今ドトールにいるのですが……なんだかショックがじわじわと来てます。だんだん辛くなります。

出演作を必ず見るような熱烈なファンというより、いて当たり前、のような愛着を持っていました。今でこそ「英国美老人」なんて自分でもひとくくりにして言ってますが、(もちろんファンになった頃は「老人」ではなかったし)そういう意識ができる前から、もっと言えばアメリカ人もイギリス人も区別を意識しなかった頃から、ずっと現在進行形で好きでした。こういうときにつらつら思い入れを書くのはちょっと気恥ずかしくもあるのですが、自分の気持ちを整理するために、思い出すことをランダムに書こうと思います。


『エレファントマン』。最初見たのはテレビで、放映の翌日には学校で話題になっていました。「やってる俳優さんはハンサムなんだって」と訳知り顔の友達に聞かされたけれど、後になって考えてみれば美男俳優というタイプではないし、名前もインプットしてなかったと思います。中にいたのがこの人だった、と意識できたのは少しあとでした。


はっきりとファンになったのは『エイリアン』。「探検隊に志願するよ」という台詞が妙に男っぽくてギャップ萌えしたので、なにかその前に見ていたのだろうと思いますが、とにかくエイリアン「出産」シーンのどぎつさにもやられました。

  
『パートナーズ』の潜入捜査をするはめになるゲイの役や、『カウガール・ブルース』の「カウンテス(伯爵夫人)」役などが印象的だったせいか、なにか同性愛者とか、性別を超越したイメージのある方でした。『コンタクト』の富豪役も(たしかゲイではなかったけど)そういう範疇だったかな…あんなふうに、無重力空間で延命してもらえたらよかったのに。ファンになりたての頃、映画雑誌でプロフィールに必ず書かれていた『裸の公僕』(未公開作のタイトルは直訳、という伝統が懐かしい)というのがずっと見る機会がなかったのですが、何年か前にこれが実在の作家でゲイ・アイコンのクエンティン・クリスプを描いた作品だと知りました。スティングの『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』のPVに出ていた方です。

(今回Youtubeに上がっているのを見つけました。今度ゆっくり見たいです)
The Naked Civil Servant (1975) 


  
『1984』。ジョージ・オーウェルの有名なディストピア小説の映画化。のちにピーター・カッシングのファンになってこの人のバージョンも見ましたが、自分にとっての最初の「ウィンストン・スミス」はジョン・ハートでした。ドナルド・トランプが大統領になってから、この小説は売れてるらしいですね。日本ではDVDが出てないようなので、ついでで出てくれないかな……。タイトル通りの1984年の作品で、劇場で見た記憶があります。主題歌の一部のメロディーだけ、時々脳内でエンドレスになります。(なぜだろう)

(以前、原作を新訳版で再読した時の感想をここに上げているので、リンクを貼っておきます。
「人は愛されるより理解されることを望むものなのだろうか」/『一九八四年』新訳版

それから『ミッドナイト・エクスプレス』。非力なたたずまいの魅力が独特で。数年前に主演のブラッド・デイビスが早世していたことを知って、こちらもショックでした。


『バイオレント・サタデー』。長く残るような作品ではないと思いますが、ルトガー・ハウアー主演で、当時周辺に多かったこの人のファンの人と一緒に見たような覚えがあります。懐かしい。


たぶん、「ジョン・ハートが出ているから」という理由で封切りを劇場まで見に行った最初の(もしかして唯一の)作品が『スキャンダル』。政府の高官がコールガールに情報漏洩していた、とかいう実際にあった「プロヒューモ事件」の映画化で、題材にはいっさい興味がありませんでしたが、遠い東京の映画館まで見に行きました。なんか好きだったんですねえ。そこでついでに(?)インプットしたのが、共演していたイアン・マッケラン。まったく素敵な役ではありませんでしたが妙に印象的で、このあたりから名前を気にするようになりました。(うろ覚えなので見直したくなって、レンタル探したんですがありませんでした。どうも日本ではDVD自体出てないようで。AmazonにあったのはVHSのページのみでした)

 
『我が命つきるとも』。ポール・スコフィードがトマス・モアを演じた名作で、ジョン・ハートはまだ若い頃の出演。見たのはわりとあとなので、「うわー、こんなにかわいかったんだ!」と思いました。ヘンリー八世役がロバート・ショウで、そちらも印象的で大好きな作品です。若くてこすい奴、という系列の役では、ピーター・カッシング主演の『ブラッディ ドクター・ローレンスの悲劇』も印象に残っています。


最近では『裏切りのサーカス』、ドクター・フーの五十周年作品。それから…なんせたくさん出ているから、すべては思い出せませんね。

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最近はTwitterをはじめとしたネットのおかげで、素のお姿を見ることが多くなっていました。普通に「おじさま」としても素敵で。ちょっと前にも、ファッション写真のポーズをとったフォトシュートの情報をご本人が流していて見とれました…。

こちら。ほんとに素敵な写真です。
How to spend it: John Hurt in monochrome tailoring
(ご本人のアカウントから探そうとしたら、もうなくなってるみたいで見つかりませんでした……寂しいです。残してほしかった…!)

上記の同じサイトが公開しているビハインド・ザ・シーンのビデオ。
How to spend it: John Hurt: rarely seen video
The legendary actor talks movingly about his career and personal style

しかし自分でも驚くほどプライベートには無関心でした。訃報記事で始めて知りましたが、まあ、何度も結婚なさってて、大酒飲みだったんですね。(今でも正直どうでもいいです…(笑))

自分の狭い世界のなかで、太陽や月や星というより、大地を形成するランドマークの一つのような存在でした。じわじわくる喪失感、ちょっと淀川長治さんが亡くなったときと似ています。素直にしょんぼりしつつ、作品で偲びたいと思います。ソフトを持っているものは案外少ないのですが、録画した『我が命つきるとも』が残ってるので、少しずつ見直しています。他も新旧取り混ぜて見直したいです。

2017/01/02

コミケご報告+明けましておめでとうございます。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

12/30は、コミックマーケットに参加させていただきました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました! 初めての創作JUNE/BLでの参加、おかげさまで用意していたイアンシリーズの無料配布本はほぼすべてなくなりました。三分の一くらい持って行って頂ければ御の字、と思っていたのでとても嬉しいです。一部はご挨拶にきてくださったジャンル違いの方にもお渡ししてしまったのですが(スミマセン。他にお渡しできるものがなかったので(^^;))、ほとんどがセットでお持ちいただいたので、かなりの数はご新規の方の手に渡ったのだと思います。もし気に入って頂けたら、他の本も覗いてみてくださいませ。それから、いつもお立ち寄りくださる皆様には、新刊がなくて申し訳ありませんでした。今年はがんばります。

今回は初めて、A2弱サイズ(約A4×4)のポスターをディスプレイしました。前にもご紹介したかもですが『ズバリ巨大プリント』というソフトを使って、大きく拡大した画像をA4プリンタ用に分割印刷。プリンタによっては標準装備機能らしいのですが、うちのはないのでソフトです。こんな感じに光沢紙A4二枚ずつを貼った状態で折って持っていき、会場で広げて二枚を上下につなげました。持ち運びも楽です。





それなりに通る方が見てくださったので、「大きいことはいいことだ」は同人イベントでは成り立つのかもと思いました。たぶん予想以上に持って行っていただけたのもこれのおかげかと。自分はネットでのPR能力低いですし(^^;)、リアルの会場では「見て1秒勝負」なので、これからもちまちま工夫してみようと思います。(まあ、何をしてもダメな時はダメなんですけどー。(笑))

あと、無料配布3点セットをポリ袋詰めにしたのも良かった気がします。さっと持って行っていただけるし、家庭用インクジェットで刷ったイラストもポリ袋の光沢でPP加工のように見栄えがするのです。 (いいすぎ(笑))えっ、これ無料ですかとお聞きになる方が何名様かおられました。恐縮です。

コピー用紙にインクジェット印刷表紙+100均のA5強のポリ袋。
これは一冊だけ入れたテスト。当日はペーパー含めて三部入りなのでしわも出ずピカピカでした❤

少数ながら「この人(上のイラストのキャラ)の本がこれですか?」と有料本のほうを含めてお連れ帰りくださった方もおられて、とても嬉しかったです。ゆるく当て書きと言っていますが、漫画の場合の影響と似た感覚なんです。…昨年デヴィッド・ボウイの訃報が出た時、一時期は、ある種の少女漫画の「かっこいい男性キャラ」の顔がみんな彼に似ていたものだ…、という話題が流れていたんですが、それに近い感じで。なので自分の心理は、(ストーリーでなく)キャラに対しては親バカというよりファンに近くて(笑)、そういう意味でも嬉しかったです。楽しんでいただけていますように。



配置された西ホールはシャッター全開でとても寒くて、午後は早めにお帰りになるサークルさんが多かったですが、いちおう閉会まで、片付けながらもいました。終わり近くになってから続けてお買い上げもいただいたので、いてよかったと思います。

少し意外だったのが、けっこう男性の方が無料本をお持ちくださったこと。一緒に長編のほうをお買い上げくださった方もいらっしゃいました。うちのはそれっぽくない表紙のものもあるので、「BL系ですけど大丈夫ですか?」などとお聞きしてしまいましたが、コミケにきている方にこの質問は無粋だったかもしれません(^^;)。考えてみるとコミケの創作JUNE/BLは女性向けだけではなく、ゲイの方向けの作品も一緒なんですよね。でも彼女連れ(?)の方もいらっしゃいましたし、そちら系の方とは限りません。最近参加しているのはムーパラとJ庭だけで、参加者はほぼほぼすべて女性なので、意外というか、嬉しいけれど慣れない感覚でした。読み手さんは自分が思うよりもっと自由になっているなあ、と思いました。

イアンシリーズは(他に当てはまるものがないので)BLとは言っていますが、テーマが官能ではなくてキャラがゲイなだけ、的なアプローチを試行錯誤しているので、性別・嗜好を問わず読んで頂けたら理想です。楽しんで頂けたらと願うばかりです。

下はペーパーに入れた次回作『ヒュペルボレア:リハピリ男子イアン・ワージングの北海旅情(仮)』の表紙候補イメージスケッチから、ヒゲ無しイアン。ペーパーではモノクロでしたが、元画像は目だけ色付きでした。まだ流動的なので使わないかもしれませんが、自分のなかでイメージをかき立てるためにちょこちょこ描いています。(^^)



お立ち寄りくださった方々と映画やイベントその他のことなど、いろんなお話ができて、ほんとに生き返った一日でした。エリアがあそこだったので、J庭本部様もスペースをとっていらして、主催さんがお立ち寄りくださいました。最近は当のJ庭ではほんとにお忙しそうで、ここ数回ほどはお話する機会がなかったので嬉しかったです。J庭はなんでもありなところが魅力で、「BLのイベント」だと思って行くと意外なものがあったりします。この間口の広さのおかげで、うちのようなところでも受け入れていただいてるんですよね。今後も続けていきたいとおっしゃっていました。うちも泡沫サークルながら(^^;)これからも参加したいです。ご興味ある方、ぜひぜひ足を運んでみてくださいませ。

…昨年はバイトなどいろいろ慣れないこと続きで疲れ果てていたので、コミケの「場の空気」「いるべき場所に帰ってきた」という感じでした。ほんとにもう帰りたくないというか、一秒でも長くいたい、という感じで。で、帰りはいつも寄る外のパスタ屋さんでなくて、東へ向かって上るエスカレーターの横のセルフサービス店でごはんにしました。

下の広場(?)部分は五時まで向かい側の企業エリアが開いていたので、人通りもかなりありました。撤収する皆さんや、さらに上の階にあの巨大エスカレーターであがっていく人々を眺めて、紙の容器からカレーを食べながら……正直あれであの値段は高いですが(笑)……すごく贅沢ないい気持ちになりました。安心、といっていい気持ちでした。ちょっと大げさかもしれませんが、自分がなにを大切だと思っていて、人生において何をしたがっているのか、どっちの方向に歩くべきなのか――といったことに久しぶりに意識を向けることができました。

日常の雑事に追われていると、そういうことは「生きにくさ」の形でしか意識できなかったりします。何かを達成したいというゴールというより、どういう日々を送っていきたいのか、というレベルでなのですが……その際の自分の優先順位はなんなのかを、少し建設的に考えることができました。あの気持ちを時々再生させて、毎日の判断に生かすようにしたいです。まあなかなかうまくいかないですけど、進む方向はあっていると意識できれば、いろんなトラブルや障害に直面したときに「どう乗り越えるか/迂回するか」という意識になれるし、「この世の終わりじゃないさ」と距離を持って眺められる気がするのです。

そんなこんなで2017年。いろいろやってみたいことがあるのですが、肩の力を抜いて(これが難しい(^^;))場・環境の力も意識して借りつつ、「やってみる」って感じでいけたらと思います。そんなわけで、改めてよろしくお願いいたします!


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